"Future Media Education for Children" Workshop

This workshop had based on about education-related business “cocoiku” for children in ISETAN. Participants discussed “future media education”.
First, they learnt about a fact that a department store is changing its business category from a retail into a service. One example is an attempt to create a batter relationship between children and media. And then participants were divided into six groups to have a discussion.
In the discussion, they thought about cocoiku from a variety of angles. They made use of marketing, developmental psychology, and each specialty such as city planning.
The workshop turned out to be a good learning for the lecturer, a manager from the ISETAN, as well as participants.

企画の背景

 このワークショップは、伊勢丹が2015年度より開始した子供向け教育事業「ココイク」を題材に、子ども向けのメディア教育コンテンツを考えるという内容である。大きく分けて企画の背景は2つある。一つは、なぜ小売業の業態を保ってきた伊勢丹という百貨店が、教育産業へ足を踏み入れることになったのか。そして、これからの教育を考える上で子どもがメディアとどのように付き合っていくべきか。以上の思考を交叉させながら、参加学生には具体的なビジネスプランの改善提案などをプレゼンテーションしてもらった。

どんなワークショップ?

 伊勢丹で実際に運営されている子ども向けの新しい教育サービス事業「ココイク」を題材に、これからの子ども向けメディア教育とはどうあるべきかを考え、伊勢丹の担当者へ具体的な事業提案を行なった。
 参加者はまず、1日目に伊勢丹側の山田幸(事業統括マネージャー)氏より「なぜ小売店が教育サービスを提供するようになったのか?」という話を聞いた。具体的な店舗においてモノを売る時代は終焉を迎えつつあり、これからは「顧客が店舗内に滞在する間の時間や経験」をサービスとして売る時代になっていること、また親世代が少子化時代において「子どもにより良い教育を提供したい」と考えていることなどから、伊勢丹全体のビジネスモデルの改革が進んでいるという。またサービス提供当初に想定していた来場者年齢(6-12歳)よりも、実際のニーズはより低い年齢層(0-6歳児)向けのほうが多いといったことなど、現実の課題点なども伊勢丹より情報提供された。
 その後、実際にプログラムが展開している現場を視察した。ココイクは「ベビー・子供服売り場」のある伊勢丹新宿店6階と、別館である伊勢丹会館の5階の2カ所で展開している。視察が終わった後にそれぞれの参加者が興味関心のある点をシェアし、関心にそって6つのグループに分けた。その後はグループディスカッションに進み、1日目の最後に「その日に話し合ったこと、関心の焦点」について発表し合った。
 2日目までの2週間の期間には、各グループごとに、ネットを使ったり必要に応じて集まったりしながら調査をしたり、アイデアを練っていく様子が見受けられた。
 再集合となった2日目では、それまでに話し合った内容をまとめ、伊勢丹の担当者に向けてプレゼンテーションが行なわれた。子供に対してメディアについての教育を展開することの意義について考えたものや、広報戦略を考えたものなど、様々な視点から提案が行なわれた。具体的なアイデアが伊勢丹ですぐに採用されることはなかったが、視点の提供という意味で伊勢丹担当者からも「学生の皆さんの提案からは、それぞれ非常に参考になる視点をもらえた」というコメントがあった。

プログラム

1日目
90min

イントロ:伊勢丹・山田事業統括マネージャーより「ココイク」ビジネスについてお話

120min

観察:実際にプログラムが行われている様子や施設会場の視察

270min

グループディスカッション

(ホームワーク)

(グループごとに調査を行なったり、ディスカッションを行なったりする)

2日目
240min

まとめ作業:発表の準備

120min

成果プレゼンテーション:山田マネージャーを交えて、発表&講評

60min

ラップアップ:まとめ

ワークショップの成果

ワークショップ後のアンケートでは、以下の結果が出た(いずれも5点満点)。
・「WS構成についての満足度」:4.7点
・「自分に得たこと」:4.3点
・「自分のパフォーマンスについて」3.8点
全体としては満足度の高いワークショップだったようだ。アンケート内のコメントでは、具体的な事業を下敷きにしていたため、議論が抽象的になりすぎずよかったという意見が多く聞かれた。これはこのワークショップの特徴でもある。

ふり返り

実際の現場を視察したり、担当者の生の声を聞いたりすることで、ICTを用いた社会課題への取り組み方を、具体的な手触りとして経験できたことは大きい。逆に、具体的な事例であるがゆえに、テーマを深く堀り下げる前に「現実的な目の前の課題への改善策」にこだわってしまうという面もあった。課題を絞り込むという意味では正しいことかもしれないが、逆に言えば問題設定の柔軟さや、進行上ファシリテーター側からの問いかけによっては「解ける課題設定」に課題を矮小化させてしまい、「そもそもの原点に立ち返って考える」ということを阻害してしまった可能性もある。問いかけ方や課題設定の工夫に課題が残ったワークショップでもあった。

アイテム

情報収集のためのタブレット端末、またはPC

開催日時

2015.10.4(日)10:00-17:00
2015.10.18(日)10:00-17:00

場所

伊勢丹新宿店会議室
東京大学工学部2号館 93B教室

参加者・人数

GCLコース生21名(コンピュータ科学2、システム情報2、学際情報学府4、健康科学・看護学1、公共健康医学2、総合教育科学5、知能機械情報学1、都市工学2、農学国際1)

講師/ファシリテーター

講師:
山田幸(株式会社三越伊勢丹)

ファシリテーター:
会田大也(東京大学大学院GCL GDWS 特任助教)

原稿執筆:会田大也