Yokai Dictionary Workshop

Stories of ‘yokai,’ supernatural or mythical beings, have been passed down for generations as a metaphor for the unknown, which is often associated with people’s sense of fear. Our workshop invited participants to create their own yokai that would be born out of the irritation they face in their daily lives. The aim of the workshop was to give participants an experience to objectively reflect on their annoyances by communicating them in the form of a yokai. We also hoped that participants would realize the social and cultural context behind our sense of anger. Judging from the feedback we received, we believe that the participants enjoyed creating their own yokai and that the workshop managed to actualize its goal of giving participants a chance to think about why they were irritated.

自分たちだけの妖怪を作ろう!

妖怪ブームの昨今であるが、昔から人々は怖いと感じた説明のつかない現象を起こした存在として妖怪を生み出し、妖怪を語り継ぐことで、危険や教訓を後の世代に引き継いできた。子どもに対しての戒めの役割を担っていた妖怪も少なくない。 このワークショップでは、イライラをもとに妖怪を作ってもらうことで、怒る自分について振り返る視点を学んでもらうことを意図した。参加者どうしでなぜイライラするのかについて感情を整理し、言語化、可視化することを通じて、妖怪という媒体にメッセージをのせることを考えてもらうようにデザインした。参加者が怒りの感情の背景にある社会的、文化的な規範に気付くことも大きな狙いである。

どんなワークショップ?

参加者は3グループに分かれて議論し、必要な協力はしつつ、創作活動は個別に行った。ほとんどの参加者が初対面だったが、和気あいあいと楽しそうに取り組んでもらえた。実際に行われたのは以下のとおりである。

a. 妖怪について、その「特徴」「ひそむ場所」「(妖怪がする)いたずら」「対処法」を整理。

b. 自分たちがイライラしたことを挙げてもらう(人がした行為に限定)。

c. イライラをさらに「なぜイライラするのか」「なぜその行為をするのか」と更に分類。

d. それをもとに、妖怪を用意された素材を使ってつくる。出て来るシチュエーションを想定した写真を撮影し、妖怪図鑑フォーマットに書き込む。

e. 作品発表会

f. リフレクション

リフレクションでは、個人の中でわき上がる感情である「いらっとする」が、みんなで共有できるのはなぜか、を考えてもらった。様々な意見が出たよいリフレクションだった。

プログラム

5min

オープニング

10min

自己紹介(輪になって30秒。名前、普段は何をする人、子どもの頃怖かったもの)

10min

妖怪についてのイントロ。
図鑑を眺め、特徴を挙げてもらう

10min

「知る活動」そもそも妖怪とはなにか

30min

「創る活動」の説明

70min

「創る活動」(いらっとすることをシェア/図鑑シートに記入/創作)

30min

写真撮影。図鑑に貼る

10min

休憩

30min

作品発表

30min

全体の感想共有とまとめ

ワークショップの成果

参加者からのアンケートからは「とても楽しく妖怪作りができて、童心にかえりながらなぜいらっとするのかという問題についても考える事ができた」「イライラという感情を相対化して捉え直すことができた」「妖怪という存在がより身近に感じられて、より妖怪について興味が出た」など、ポジティブな感想が聞かれた。一方「妖怪は戒めを忘れないために生まれたという話だったが、戒めとイライラとの文脈が分かりづらかった」「妖怪を平面でつくるのか立体でつくるのか分からず、平面にしたため写真が映えなかった」など、運営側の課題となる指摘もあった。

ふり返り

参加者が予想以上に楽しんで取り組んでいた様子が伺えた。妖怪づくりのためにかなりいろんな素材を用意したが、手を動かして何かをつくる作業をワークショップに取り入れる意義を感じた。

出来上がった妖怪の中には、怒りの分析からよりも妖怪の特徴から考えたものもあったので、なぜイライラに限定して、そのメッセージを妖怪にのせるのかの説明をもっと詳しくするべきだった。

アイテム

模造紙、付箋、ワークシート、図鑑のフォーマットシート、文具、さまざまな素材、デジタルカメラ

開催日時

2014.9.13(土)13:00-17:00

場所

東京大学本郷キャンパス情報学環福武ホール・ラーニングスタジオ1

参加者・人数

参加人数:11名
他大学生(院生含む)6名、小学教員1名、文科省1名、社会人2名、その他1名

講師/ファシリテーター

岩渕真理(東京大学大学院学際情報学府修士課程)
神谷説子(東京大学大学院学際情報学府修士課程)
逆瀬川愛貴子(東京大学大学院学際情報学府修士課程)
邊見信(東京大学大学院教育学研究科博士課程)

原稿執筆:神谷説子