Community Design Using Tokyo’s Cultural Resources

The Tokyo Cultural Resources Alliance promotes the ‘District Plan of Tokyo Cultural Resources’. The aim of the plan is to have Tokyo ranked as the cultural capital of the world by 2020, the year of the Tokyo Olympics.
In this workshop, students thought about what cultural resources are, and how they can be used for community design. The target areas are mainly Hongo and Yushima. But it is not easy to find cultural resources in these areas.
The program was as follows:
―Introduction and guided walk: This took place in July. We briefly introduced the area and the ‘District Plan of Tokyo Cultural Resources.’ Then we walked around Hongo and Yushima. After that, students divided into four groups based on their interests.
―Working in groups: Students did research on the area in groups.
―Workshop Day: On August 20 and 21, we gathered in 3×3 Labo. Groups presented their research, which was followed by two lectures ― one about community design in Yanaka and one about the ‘District Plan of Tokyo Cultural Resources.’ Then students discussed the idea of community design using cultural resources.
―Working in groups: They improved their ideas.
―Final presentation: On October 3, students did presentations on the idea of community design using cultural resources.

企画の背景

 2020年東京五輪までに東京都を「世界の文化首都に」という「東京文化資源区構想」。
 東京文化資源区構想への提案を念頭におき、日本有数の近世・近代文化資源の集積地である東京区部の北東部エリア(本課題では、主として本郷、湯島地区)を対象にして、文化資源とは何か、文化資源の集め方・使い方・引き継ぎ方とは何であるかを検討し、その発見方法やアーカイブ化、まちづくりへの活用を考える。

どんなワークショップ?

・2015年7月にガイダンスを行った。今回対象とする本郷・湯島地区について、「東京文化資源区構想」についてのレクチャーの後、実際にまちに出て、まちあるきを行った。その後、各自の興味関心に合わせて、チーム編成を行った。
・7月末〜8月前半は班ごとに作業を進めてもらった。本ワークショップ専用のFacebookグループをつくり、これを通じて、随時情報交換などを行った。各班は、現地踏査をしたり、キーパーソン(湯島天神の宮司)へのインタビュー調査などを行った。
・8月20-21日は「ワークショップデイ」とした。谷中等で長年にわたりまちづくり活動を進めている椎原晶子氏や「東京文化資源区構想」を進める吉見俊哉先生をお招きし、基調講演をしていただいた。また、この日までに進めてきた作業を持ち寄り、まとめながら、提案をつくってもらった。21日の最後には、公開型の提案発表会を行った。会場からも質問やコメント等がでて、意見交換を行った。
・9月は提案のブラッシュアップ期間とし、班ごとに作業とした。期間中、各班1回ずつ、ファシリテーターと相談の機会をつくった。
・10月3日には「全国まちづくり会議」(主催:NPO法人日本都市計画家協会)にて、班ごとに提案の発表を行った。

プログラム

7月16日

ガイダンス、プレ・まちあるき、対象地区についてのミニレクチャー、班編成ワークショップ

8月中

各班でのフィールドワーク

8月20日
15min

趣旨説明

15min

自己紹介、アイスブレーキング

60min

レクチャー(椎原晶子氏「谷根千の活動、文化資源の活用、地図へのまとめ方について」)

60min

各班作業(自主フィールドワークでやってきたことのまとめ)

90min

中間発表と質疑応答

150min

各班作業(フィールドワークもあり)

8月21日
60min

基調講演(吉見俊哉氏「東京文化資源区構想や文化資源について」)

120min

各班作業(フィールドワークもあり)

120min

各班作業(エスキスチェックの時間をとる)

180min

最終発表+今後にむけたアクション+フェアウエル

10月3日

全国まちづくり会議での発表

ワークショップの成果

・各班のテーマは、飲食、産業、生活景、地形。
・飲食班:実地調査などの結果から、各個店の看板やデザインに着目し、その背景にある人の営みこそが文化資源であるという主張だった。こういったデザインをICTでアーカイブ化し、可視化することへの提案があった。
実地調査では調べていたが発表では省略されたこと(カフェの看板や家具、東京大学の研究成果や最先端の科学技術の展示など)にも再度着目すべきである、受験生のみならず広く大学を街へ浸透させる道具としてカフェが役立つのではないか、といったコメントがあった。
・産業班:菊坂に多く残る「比較的古くから営んでいる」産業に着目し菊坂の意義について検討していた。ここでの文化資源を「店先文化」と定義し、空間のみではない、幅広い意味でこの通りに根付く文化の重要性を指摘していた。「本郷百貨店」のように既に行われている取組みを発展させて、特に周辺地域に増えている子どもを対象に体験型のワークショップ等の提案をした。
・生活景班:湯島天神の宮司さんや人口統計等の文献調査から、当地域には若者が多く住んでいるものの、まちづくりにほとんど関わりがないことを指摘。まちづくりの担い手育成の場が必要であり、そのための場として「切通線停留所」を提案。若い世代の関心喚起のためにゲーム性のあるイベントがよいのではないかと提案した。
・地形班:湯島の坂に着目して現地調査や地形図(標高図)について丁寧な分析を行い、一方で当地域には大学病院が点在していることを指摘。ここから、坂を活かして糖尿病患者が適切に散歩できるように促す「坂データベース」を提案した。その結果を反映した坂を効果的に活かした散歩ルートなどが提案された。併せて、坂のサイン計画提案や、ウェアラブルデバイスの提案も行っていた。

ふり返り

・昨年度のワークショップでは、実際に提案する対象地を設定しなかったため、議論がやや抽象的になってしまったが、今年度は実際に対象地域を設定したため、様々な検討を具体的に考えやすかったのではないかと思われる。

・一見すると、目立った地域資源のない地域であり、この地域でいかに「文化資源」を発掘し、まちづくりに活用する提案をするか、運営側としては楽しみなところであった。

・いずれの班もアイデアの着想は興味深いものであったが、その後の調査分析と考察をじっくり取り組めた班と、あまり時間をかけられず表面的なアイデア提案にとどまった班があった。

・また、実際のまちづくりの動きにつなげられればという狙いもあったが、これは今後の課題であり、現在進行している「東京文化資源区構想」の方とも引き続き連携していきたい。

開催日時

2015.7.16(木)〜8.20(木)・21(金)、10.3(土)

場所

丸の内3×3Labo(東京都千代田区)、東京大学工学部14号館内、本郷・湯島地域

参加者・人数

13名
GCLコース生7名(都市工学1、経済学1、健康科学・看護学2、学際情報学3)、GCLコース生外6名(都市工学3、教育学2、首都大学東京観光学2、千葉大学デザイン科学1)

講師/ファシリテーター

講師:
吉見俊哉(東京大学大学院情報学環 教授)
椎原晶子(NPOたいとう歴史都市研究会)

ファシリテーター:
小泉秀樹(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 教授)
真鍋陸太郎(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 助教)
後藤智香子(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 特任助教) 

学生スタッフ:
宋 知苑(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 RA)

原稿執筆:後藤智香子