Media Landscape Without Apple 2019

This workshop is a large one that takes five days. “If Apple disappeared in 2007 and the iPhone did not exist, what kind of media landscape can you create now?” The scenario is “draw the real world, not the rosy future”, and participate emphasize the importance of co-creation with others. Participants were divided into three teams: Government / Public, Life / Culture, and Industry / Business. The first day, participants gained common knowledge from expert lectures and used for discussions, and scenarios on Saturday and Sunday A four-day group work was undertaken to create an alternative media landscape scenario on the last day.
This workshop(T3) was a pilot program of the “New Literacy Project for Media Infrastructure” conducted by the research community of Mizukoshi New Laboratory from April 2018ーFrom Facebook, Twitter, Google and the Internet itself.
We will publish detailed analysis results of this workshop and repeat the practice to make it better.

企画の背景

このワークショップ(以下WS)は、研究プロジェクト「メディア・インフラに対する批判的理解の育成を促すリテラシー研究の体系的構築」(科学研究費基盤研究B 2018-2020年度 課題番号:18H03343)で開発したWS型学習プログラムの4類型モデル・T3のパイロット実践である。当プロジェクトはGAFAなどのメディア・インフラの構造や機能、デザインを技術的観点からだけでなく、政治経済的、文化的な観点からも批判的に理解していくメディア・リテラシーを育成するための、新たな理論構築と学習プログラム開発を行っている。本WSでは、参加者に所与のものであるメディア環境=スマートフォンが利用できる日常生活を異化するテーマが設定される。グループワークを通じてメデイア・インフラの存在と影響を認識し、T3の目的である「オルタナティブなメディア環境を想像する」ための企画デザインとした。

どんなワークショップ?

本WSは5日間で行う大掛かりな内容である。その冒頭に水越より課題を説明した。「2007年にApple がなくなり、iPhone が発売されなかったとします。そうなったとき、2019年のメディア環境はどうなっているのでしょうか。そのシナリオを描き、5分程度のスライドショーにまとめて発表してください。」 そして、シナリオは「バラ色の未来ではなくリアルの世界を描く」こと、そのためには参加者の「共創」が重要であることを強調した。参加者は、老若男女、文系・理系、学生・社会人が4-5名で混在することを念頭に、「行政・公共」「生活・文化」「産業・ビジネス」の3 チームに分けて議論の偏りを避け、グループワークが活性化するようにした。第1日目には、概要説明と顔合わせ、共通の知見と議論の手がかりとなるレクチャーを行い、その後は土日2日間を2回、計4日間のグループワークを行っている。

プログラム

Day 1

オリエンテーション・レクチャー

 ・13:00−13:00

概要説明(水越伸:情報学環教授)

 ・14:00−1440

モバイル・メディアの歴史(飯田豊:立命館大学准教授)

 ・14:50-15:30

災害とスマートフォン(関谷直也:情報学環准教授)

 ・15:40-16:20

スマホ最適化の10年(宇田川敦史:学府博士課程)

 ・16:30-16:00

参加者顔合わせ

Day 2,3 

グループワーク

・7/6(土)、7(日) 

工学部2号館 9階92B

 ・10:30-16:00

オリエンテーション、グループワーク(昼食含む)

 ・16:00-17:00

進捗共有と議論

Day 4,5 

グループワーク

・7/27(土)、28(日)

工学部2号館 9階92B

 ・10:30-15:30

シナリオ・PPT作成(昼食含む)

 ・15:30-17:00

チーム発表と議論

ワークショップの成果

・5日間にわたるWSの目標、「スマートフォンの存在しないオルタナティブなメディア環境」を描くシナリオの作成に取り組んだ。その最終シナリオのタイトルは以下の通りである。行政・公共「Suicaの可能性にかけていた」、生活・文化「避難所情報共有プラットフォーム HINANJO」、産業・ビジネス「すべての人にスマートエージェントを:BANANA社」。
・本WSに参加した結果、スマートフォンに対する認識やプラットフォームの知識が変化したことがアンケート、インタビューにより確認された。プロジェクトが目指す「メディアインフラを批判的に理解する新たなメディア・リテラシーを手に入れる」ためのワークショップといえるだろう。

ふり返り

・本WSは、GAFAなどメディア・インフラの構造や機能、デザインを技術的、政治経済的、文化的な観点から批判的に理解していくメディア・リテラシーを育成するための学習プログラムである。WSの目的である「オルタナティブなメディア・インフラのあり方を想像」するために参加者に示された目標は、「2007年にアップルがなくなりスマートフォンが存在しない2019年のメディア環境をシナリオに描く」ことであった。
・WS企画デザインで留意したことは、参加者の多様性の担保、充分なグループワーク(土日4日間)の確保、知の共通基盤となるレクチャーの実施である。参加者は、東京大学大学院生と社会人の男女が参加し、4日間のグループワークで濃密な議論を行った。初日に行ったレクチャー「モバイル・メディアの歴史(飯田豊)」「災害とスマートフォン(関谷直也)」「スマホ最適化の10年(宇田川敦史)」の内容は、各チームの最終シナリオでさまざまな場面に活かされていた。
・WS参加者が共通に学んだことは次の3点である。第一に、iPhoneと、それが技術的、文化的なモデルを提示したスマートフォンが存在することの自明性を問いなおす機会を得た。第二に、現代のメディアの生態系の複雑な相関関係に気づくようになった。そして第三に、メディアの生態系のあり方は国家や大企業、あるいは情報技術だけで決まっていくのではなく、一般の人びとの日常生活における文化とリテラシーのあり方が大きく関わっていることに気づき、さらにいえばメディアの生態系のこれからのあり方は、一般の人びと自身が変えていくことができるかもしれないという可能性に覚醒したと考えている。
・今後は、より詳細な結果分析を行いその成果を公開するとともに、多くの人が実践可能な学習プログラムにするために、WSをよりよいものに発展させていく。

アイテム

ホワイトボード、電源、モニター、プロジェクター、PC、スマートフォン、iPad(ロイロノート)、コダックSP360(オンボードカメラ)、PowerPoint、模造紙、ポストイット、フェルトペン、昼食(弁当)、飲料、スナック菓子、Palro(会話ロボット)

開催日時

2019年6月29日-2019年7月28日

場所

東京大学本郷キャンパス 福武ホール第1会議室、工学部2号館9階92B

参加者・人数

13名(男性6名、女性7名)

講師/ファシリテーター

・講師/飯田豊(立命館大学准教授)、関谷直也(情報学環准教授)、宇田川敦史(博士課程)
・ファシリテーター/水越伸(情報学環教授)、宇田川敦史(博士課程)、勝野正博(博士課程)、神谷説子(博士課程)、松原徳和(情報通信総合研究所主任研究員)