Mobile Application Stamp Rally Workshop on UTokyo May Festival

A stamp rally is where ones goes round to centain locations to collect unique stamps of the places. The events are frequently organized for further marketing or place promotion purpose. However, the traditional stamp rally with paper-based has the limitation that retain the data of the participants in offline, invisible thus difficult for organizers to analyze the data and find the improvement.

For responding to the social question “how ICT can solve the problem in the real society” of GCL, in the practical approach, we start up the workshop naming “Mobile Application Stamp Rally Workshop on UTokyo May Festival” aims to provide the new digital benefits to both participants and organizer.

Operaters hold diverse background, including engineering, design, advertising,and so on. participanted the workshop jointly. It takes more than 4 months from the start to the end of the project, holding discussions and communications over and over to create ideas, find out solutions, and implement our approaches. In the preparation phase, through designing and improving the whole digital platform and event contents, we attempted to improve the project better and better. As a result, we succeeded to lauch the project in UTokto May festival and completed 2-days data collection of 9 stamprally places. The collected data composed by 1566 access records which collected from 234 attendees. By analysising and visualizing the collected data, we obtained several findings that have never been found if using the traditional method. These findings analysed by the digital platform could be a important insight for further improvement.

The result demonstrated the project was extremely meaningful and valuable for both the event attendees and organizers. The workshop gave impressive outputs and valuable aspects for “online to offline” (O2O) data collection and analysis. It also could be utilized as a case-study for attendees’ behavior-analysis in the big data area.

企画の背景

本ワークショップは、『社会において、ICTをどのように活用していくのか』という命題に対して実証的に応答することを企図して設定された。私たちが着目したのは、毎年開催される東京大学の五月祭において、紙ベースでスタンプラリーが実施されている点であった。なぜならば、紙ベースのスタンプラリーでは、来場者へ提供できる情報は限定されているし、同時に、運営者側にとっても将来活用できるような有益な情報を取得することが困難だからである。
 QRcode, Bluetooth low energy, NFCといった近距離通信を利用した近年開発が著しい位置情報サービスを有効活用することで、現状の課題を克服し、高次元サービスの提供が可能である。つまり、スマホによるスタンプラリー(スマホラリー)を開発することによって、来場者は1) スタンプラリーがスマホ上で完結することにより荷物の簡素化、2) アプリ上で位置情報が可視化されるため目的地の明確化、3) 5月祭に関連する有益情報(店舗やクーポン情報)を取得できて情報の多様化、といったメリットを享受できる。他方で、運営者にとって、来場者の属性、位置情報、行動情報等といった情報を網羅的に取得・分析することは、次回以降の運営改善や便益向上の打ち手を検討するに寄与する。上述したような想定効果を仮説として内包し、本ワークショップはスタートした。

どんなワークショップ?

 本ワークショップは、多くの関係者を巻き込んだプロジェクトであり、企画から最終報告までに4ヶ月間もの期間を要した。関係者は、CGLコース生・葛杭麗(システム開発)の他に、五月祭常任委員会(運用との整合性の確認、地図データ提供、スタンプ用の画像提供)、GCL広告企画(WS企画支援、イベント周知)、坂村・越塚研究室/YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(システム連携支援)からの支援が必要であり、設定したワークショップの進捗度合いに応じて、各関係者と議論を重ねて、その都度最善の解を導き進めていった。各関係者の役割を明確にして、タイムリーに課題に対処したことがワークショップを円滑に進めた一因である。

本プロジェクトの中で、ワークショップの方法論がもっともよく効果を発揮したのは、システムテストとその改善の場面である。プロトタイプのプログラムを作動させ、ワイヤフレームを作った上でメンバーにテストをとしてもらいながら、動作の詳細な確認、設計仕様の改良などを行って、本番用アプリケーションの継続的な改善を行うことができた。

ディスカッションが活性化するために、比較検討用のプロトタイプを作った上で、使い心地の比較などをしたことで、参加者達にも分かりやすく実際の使用感などを想像してもらえたはずである。
 実際の5月祭のイベント当日は、工学部エリア10箇所にてスタンプを設置した。234名の来場者がスマホラリーに参加し、合計1566回ほどスタンプへアクセスした。47名の参加者は属性分析に必要なアンケートに回答してくれた。イベント運営後の最終報告としては、アプリ上から取得した情報を分析し、時間帯によるアクセス量の分布、個々スタンプの発見難易度、といった次の運営に有益な情報を含めて提供し、ワークショップの結びとした。

プログラム

2014年2月

スマホラリーの設置場所、ルールの検討

2014年3月〜5月

システム開発 :要件定義、画面遷移デザイン、スタンプ素材デザイン、機能開発

2014年5月1日〜14日

システムテスト, 改善, イベント広告(冊子、パネル作成)

2014年5月16日

現地セットアップ、本番テスト、改善

2014年5月17日〜18日

8:00~18:30 五月際本番にて、実施運営

2014年5月19日〜25日

イベント当時のログデータを分析作業

2014年6月2日

プロジェクトまとめ報告会

ワークショップの成果

想定した来場者・運営者側へメリットを提供したことに加えて、下記の3つの成果を特筆したい。

成果1: スタンプ設置場所の近くを通るだけで、BLEのPush 機能により自動的にスタンプが入手できる仕組みを導入したことで、五月祭来場者に対して、位置情報サービスの最先端の機能と利便性などを体験させることを実現した。

成果2: 5割以上のスタンプラリー参加者がラリーを完遂し、2割の参加者は1, 2個のスタンプ獲得をした後に諦めた、というような参加者の行動解析を運営側は把握でき、次回以降のイベントへ活用することが可能となった。他にも、スタンプラリー参加者がアクティブにラリーに参加するインセンティブに関してもデータ化して運営側へ提供した。

成果3: 付随的な便益ではあるが、紙ベースからデジタルへスタンプラリーを変更することによって、イベント運営のコスト削減に寄与した。

ふり返り

本ワークショップでは、紙からデジタルへスタンプラリーのプラットフォームを変更することによって、来場者に対しては携帯の簡素化、目標の効率的な可視化、そして情報の多様化を、運営側に対しては取得情報の分析により有益なフィードバックを提示することを実現した。運営側にとっては、アクセス履歴情報等の解析から時間帯別アクセス量の分布、個々のスタンプの発見難易度といったデータ分析をしたことはなく、運営サイドの五月祭委員会からは「これまでになかったデータで、指標としてありがたい、今後活用していく」といった感謝のコメントを頂いている。最終報告の参加者同士の議論の中では、「今回の企画の成功をきっかけに、さらなるコラボレーションを活発的に行っていきたい」といった前向きな意見が多数出されている。このような実証実験を現実世界と密に接合させることで、Big Data分野のO2O(Online to Offline)方式で、ユーザーの行動解析、イベント改善のケーススタディの研究に繋げていきたいと考えている。

開催日時

2014年1月19日~2014年6月2日

場所

東京大学本郷キャンパス工学部エリア

参加者・人数

12名 GCLコース生(6名)
   GCL広報企画(3名)
   YRPユビキタス・ネットワーキング研究所(1名)
   五月祭常任委員会(2名)

講師/ファシリテーター

GCL 特任助教 別所正博
GCL 特任助教 木戸冬子

原稿執筆:葛杭麗