Future of Medical Care Expanded by Medical Imaging――How to develop medical AI within a clinical environment in 5 years?

What are the intrinsic gaps between Artificial Intelligence (AI) researchers and Healthcare workers and how can we overcome them? Knowing these challenges and solutions is essential to develop medical AI within a clinical environment in 5 years; towards this, the workshop gathers 2 AI researchers in Medical Imaging, 2 physicians, and 3 generalists between Healthcare and Informatics, conducting 2 activities: a) Learning: Know the overview and status quo of Medical Imaging, along with its well-known challenges and solutions; b) Thinking: Find the intrinsic gaps and solutions between AI researchers and Healthcare workers, sharing the common and different thinking/working styles in each field.
Through this workshop, we identify that the main gaps consist in i) the clinical meaningfulness and interpretability of medical AI, especially in diagnosis, to persuade both physicians and patients; ii) the commerciality of medical AI to introduce it into hospitals; iii) the robustness of AI regardless of variance among scanners/individuals to trust computer-assisted diagnosis; iv) the acquisition of medical data and their annotation despite severe ethical reviews and changing diagnostic criteria in Japan.
For i), we can use Medical Imaging for alerting the risk of overlooking the diagnosis in a clinical environment, rather than replacing physicians, especially during medical examination. Regarding ii), medical machine manufacturers (e.g., X-ray) can introduce AI into their machines or hospitals can exploit AI to reduce staff. Concerning iii), we can generally prioritize sensitivity over specificity to alleviate overlooking the diagnosis and combine medical images with other medical data, such as white blood cell count. iv) can be alleviated by data augmentation and domain adaptation techniques, along with compiling a database of electronic medical records.

企画の背景

病気の多様性や医師の潜在的疲労による臨床意思決定の質低下を防ぐため、AIによって医⽤画像を解析し、人々が健康かつ笑顔で暮らせる社会を実現するMedical Imagingの研究開発は近年盛んとなった。特に最先端のDeep Learningは高いポテンシャルを有し、糖尿病による目の病気の識別・CT画像を用いた余命の予測など、専門医と同等かそれ以上の診断精度も出しつつある。
しかし、こうした研究成果は限定的で、臨床応用はなかなか進まずにいる現状だ。その理由としては、臨床的意義や解釈、データ取得、医療AIの商業性、AIに対する不安といった、技術・資本・人間にまたがるAI側と医療側のギャップが大きい。そこでこれらを打開し、より多くの病気や状況に対応するAI、5年後の臨床現場にフィットする医療AI創りに向けて、AI専門家(Medical Imaging)と医師と医療・情報学にまたがるジェネラリストたちが集う。

どんなワークショップ?

まず導入として、Workshopの目的や流れを共有し、自己紹介を行う。その後、AI専門家(Medical Imaging)と医師と医療・情報学にまたがるジェネラリストたちのグループ分けをする。全員で5年後の臨床現場にフィットする医療AI創りの模索というゴールに向う前に、AIを医療に導入したMedical Imaging の現状と既知の課題・解決策を知るために、関連スピーチ動画の視聴と講師によるレクチャー。その上で、それぞれ異なる立場からのMedical Imagingに対する期待・不安を共有する。
臨床現場にフィットするAIを創るために、グループメンバー同士でAI側と医療側に共通・相違する流儀の共有及び本質的なギャップを特定から始める。そのギャップに沿って、それにロバストな5年後の臨床現場にフィットする医療AI創りを模索する。まとめとして、各グループがスライドを使ってギャップと解決策を発表し、質疑応答。最後に、全員のWorkshop感想や有り得る応用先の共有してから、アンケート調査でWorkshopの期待度・満足度を調べた。

プログラム

導入
10min

1 Workshopの目的や流れの説明

10min

2 参加者の自己紹介・参加動機

5min

3 Backgroundに基づくグループ分け

知る――Medical Imagingとは

――Medical Imagingとは

15min

1 スピーチ動画視聴:AIは診断の未来を変えるのか

35min

2 講義:Medical Imagingの概要・最先端・既知の課題と解決策・私の取り組み

Workshopの様子(2):https://youtu.be/rTQLknPvnqs

10min

3 Medical Imagingに対する期待・不安の共有

Workshopの様子(3):https://youtu.be/ILPEGga-hkY

10min

休憩

創る

――臨床現場にフィットするAIを創るには

25min

1 AI側と医療側に共通・相違する流儀の共有及び本質的なギャップの特定

15min

*インプット:できるだけ多くの情報を集める

10min

*コンセプト:コンセプトを絞り込む

60min

2 それにロバストな、5年後の臨床現場にフィットする医療AI創りの模索

40min

*アウトプット:アウトプットを多彩に拡げる

20min

*フィジビリティ:優先順位が高く、実現可能なものを残す

10min

休憩

まとめ
25min

1 発表会

10min

2 Workshopの感想や有り得る応用先の共有

Workshopの様子(1・2):https://youtu.be/F31tPR3m8hs

5min

3 アンケート調査

5min

4 まとめや終了の挨拶

ワークショップの成果

医療AIを5年後の臨床現場に普及させるには、「技術」のWhatだけでなく、それに関わる「人間」と「資本」も大事で、どうして使うかのWhyと、どうやってシステムを利用・普及していくかのHowもクリアする必要があると分かった。成果は多過ぎるので、全文はここに載せる:https://note.mu/kallis/n/n7286dc4c7a01
Why (臨床的意義や解釈)
実際に臨床的にAI導入が必要な分野は何がある? → 病気の数は無限にあるし、疲れによる見落としもよくあるので、診断そのものを取って代わるよりは、見落とし防止のためのアラート(自動セカンドオピニオン)
How (データ取得)
日本は匿名化など倫理審査が物凄く厳しく、大規模医療データの集積・共有に向いていない → 解決策:日本が遅れを取らないためには、倫理審査を諸外国並みに緩くする必要がある
How (収益化)
そもそも医療AIを導入するメリットは病院にある? コストは誰が払う? → 難しい問題だが、たとえば人員削減に向けたAI病院を作ったり、X線などのメーカーがフォーマットを統一し、AIサービスの一環を行うなどが有り得そう
How (安全・安心)
感度・特異度やデータセット依存などを考えると、精度は見かけ上のものに過ぎず、どうやって安全を担保できる? → 画像だけでなく、白血球の値や症状などのデータもできるだけ多く取り入れる

ふり返り

5年後の臨床現場にフィットする医療AI創りに向けたこのWorkshopを通じて、医療側とAI側には認識のギャップがあることと、これらを埋めるための具体的手段が分かったので、非常に有意義だった。たとえば、医療側はAIが診断基準を上手く説明できないことを不安視していたが、AI側からは別システムや医師と比べ、AIにだけ物差しが厳し過ぎるとの意見も。こうした意見の差についてはここにまとめる:https://note.mu/kallis/n/n8bb294c5b154
解散前のアンケート調査によると、参加者全員、医療現場に導入されるであろうAIとどう向き合うかという、同じ問題意識を抱えていたようだ。当初Workshopへの期待として、「Medical Imagingの現状や最先端を学べる」を挙げたのは7人中3人だけなのに対し、より能動的期待である「医療AIの自分の仕事への影響を考えられる」「医療側とAI側のギャップについて知ることができる」「Medical Imagingの未来に貢献できる」「AI専門家・医師・ジェネラリストたちと交流できる」を挙げたのは6人・6人・6人・7人だった。また、全員その期待が満足されたようだ。今回共有された解決策については、「有用だと思う。このまま利用可能である」が3人、「有用だと思うが、改善の余地がある」が4人と、全員ポジティブではあるものの、技術だけに留まらない、システム全体や政治、資本といった壁を再認識する結果となった。
また、今回のWorkshop成果をなるべく多くの人に発信すべく、実際のWorkshopの様子を動画にしてYouTube、Workshopの成果を文章にまとめてnoteにそれぞれ公開した。これにより医療従事者やAI研究者、一般の人たちからフィードバックをもらったり、アウトリーチ活動を通じて実際の医療側とAI側のギャップを縮める医療AI創りに役立てることが期待される。
アイテム

ポストイット、ペン、PC、レクチャー用スライド、発表用スライド、アンケート用紙,飲み物,お菓子

開催日時

2019年3月17日

場所

東京大学本郷キャンパス 東京大学情報学環オープンスタジオ中山未来ファクトリー

参加者・人数

合計7名 / AI専門家(Medical Imaging)2名、医師2名、医療・情報学にまたがるジェネラリスト3名

講師/ファシリテーター

韓 昌熙(東京大学大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 博士課程)

原稿執筆:韓 昌熙