How to improve data management and utilization in child welfare field in Japan

Background: Various kinds of administrative data on child welfare and health field has become to be accumulated due to spread of digital devices at governmental and municipal institutions. Recently, the Government is promoting to utilize administrative data for policy evaluation purpose, yet the real practice is insufficient. The purpose of this workshop is to discuss innovative ways to collect, manage, and link administrative data regarding child welfare and health for policy/program evaluation in Japan.
Methods: The workshop was held on October the 11th at Faculty of Medicine Building 3. 8 members were invited to this workshop; caseworkers from child consultation center, municipal officials of welfare sector and planning sector, pediatricians, public health nurses, and master’s course students. First, three small lectures were given to clarify the purpose of this workshop and to inform the current status of data utilization in Japan. Second, group interview asking “good practice or trouble about data utilization for policy evaluation at your job position” was made dividing the members into two groups. Third, main discussion on “Ideals and difficulties in utilization of administrative data on child welfare and health in Japan” and “Create feasible ways to utilize data for policy evaluation purpose” were made changing the members in the two groups. Each member had small sticky notes, and wrote their various ideas on them. Each group integrated the ideas putting the small notes on large paper considering the relationship among the small ideas to depict the main issue of this workshop.
Results: Three main ideas were derived from this workshop. 1)What is lacking to promote policy evaluation on child welfare and health utilizing administrative data is shared consensus that administrative data is essential for policy evaluation. Human and financial resources to efficiently manage data are also lacking. 2) To solve the problem described above, national common format for collecting and managing data as already adopted in US and Canada is needed. Common format will reduce the cost to integrate data across municipalities, and enable analyses at each level of government (i.e. national, prefectural, and municipal). 3) Policy framework that enables data utilization including data linkage is desirable based on the common data management format as described in 2). A new governmental institution or sector that supports data management and linkage for policy evaluation purpose at municipal level as well as at national level may be needed. Also, collaboration between data management sector and child welfare and health sector should be strengthened. Data scientists who has specialty in welfare and health will be valuable to innovate the current issue.
Discussion: Participants of this workshop shared the importance of data utilization in child welfare field to improve policies and programs. A bottleneck of this issue should be lack of policy for policy evaluation. Although “Basic Act on the Advancement of Public and Private Sector Data Utilization” was enacted very recently, a feasible way how to conduct data utilization has not shown by the Government yet. Lack of budget and human resources are other bottle necks.
Conclusion: To utilize data effectively and to improve policies and programs in child welfare field, shared consensus on the importance of policy evaluation using administrative data, common format for data collecting, budget securing, and development of human resource are necessary.

企画の背景

2016年に官民データ利活用推進基本法が成立し、「データ活用により得られた情報を根拠とした効果的かつ効率的な行政の推進」が目標とされた。しかし、重要な公衆衛生上の課題である児童虐待や子どもの健康に関しては、日本において統一されたデータベースがないために、政策決定・評価に必要な情報が得られない。児童の現状を把握するためのみならず、さまざまな児童福祉政策を評価し、政策形成に生かせるようなデータベースを開発することは喫緊の課題である。
上記のようなデータベースは、1)データ入力やデータを日常的に運用する職員にとって有用かつ負担が少ないこと、2)データ収集後に政策評価に活用しやすいこと、の2つの条件を満たす必要がある。本ワークショップの目的は、この2つの条件を満たすデータベースの入力項目の開発及び研究・評価に活用可能なデータセットを作り出す仕組みの創出である。

どんなワークショップ?

本ワークショップ(WS)では、児童相談所、基礎自治体福祉部門、基礎自治体企画部門、医師・保健師等児童福祉・保健部門の実務家、本WSに興味のある大学院生計8名を招いた。まず、ファシリテーター(増田)を含む3名からミニレクチャーを行い、本WSの問題提起とした。その後、参加者のバックグラウンドを考慮して2グループに分け、各グループにファシリテーターを1名指名し、「おのおのの現場で、データの利活用の先進事例、または困っていること」というテーマでグループインタビューを行った。メインのディスカッションでは、グループメンバーを適宜流動させつつ、「日本における児童福祉領域のデータ利活用の問題点とあるべき姿」「日本における児童福祉データの構築および関連領域のデータとのリンケージ手法・利活用法について」というテーマで、アイディアの書き出し、グループディスカッション、各グループの発表を行った。

プログラム

5min

アイスブレイク、自己紹介

10min

ミニレクチャー①「日本における児童虐待の現状および米国のデータベースとその活用状況について」(増田)

10min

ミニレクチャー②
「A自治体における部署を超えたデータ共有・活用の事例について」(A自治体職員)

10min

ミニレクチャー③
「B児童相談所におけるデータベース構築、活用の事例について」(B児童相談所職員)

15min

グループインタビュー

10min

グループインタビューのフィードバック

65min

ディスカッション①
「日本における児童福祉領域のデータ利活用の問題点とあるべき姿」
(付箋書き出し30分、付箋貼り付けと意見交換20分、発表15分)

15min

休憩(時間調整兼)

100min

ディスカッション②
「日本における児童福祉データの構築および関連領域のデータとのリンケージ手法・利活用法について」
(付箋書き出し65分、付箋貼り付けと意見交換20分、発表15分)

15min

全体発表

15min

意見交換、分かち合い

ワークショップの成果

1) 現状の日本で児童福祉政策を効果的に評価するうえで不足しているものは、行政データの利活用が政策評価に有用であるという政治上の共通認識、データマネジメントに必要な人的・金銭的資源である。

2) 1)の問題への解決策として、児童福祉分野における、アメリカ等で利用されているようなデータ入力の共通フォーマットがある。共通フォーマットの利用により、データリンケージにかかるコストが下げられるため、データを活用した政策評価の実現可能性が高まる。3)行政データの利活用を担当する国や自治体の機関・部署の設置、および児童福祉とデータサイエンスに造詣のある専門家の養成、または多様な専門家同士のコラボレーションが必要である。

ふり返り

本WSに参加してくださった実務家の一部にとっては、筆者が提示した「各行政機関で蓄積されているデータを、プロセス評価だけでなくアウトカム評価(政策評価)に用いることができる」という発想が、比較的新しい視点であるように思われた。学術分野で児童福祉の政策評価を行っている筆者と、実務家の間の感覚の差を埋められるよい機会になった。また、参加者のみなさんが本WSで得た問題意識を、それぞれの職場に持ち帰ってもらうことが、今後の日本のさまざまな機関でのデータ利活用が改善される一助になるのではないかと考える。
参加者の所属による特徴としては、行政機関に勤める方は普段から比較的大規模のデータを取り扱っているが、利活用の方法は記述統計に終始することが多い。また、部署を超えてデータをリンクするうえでは、部署間のセクショナリズムが壁になっている。医療機関の方は、疾病データは詳しく収集しているが、それ以外の情報を手に入れることが難しい。それぞれの機関に特有の事情はあるが、せっかく所有しているデータを、子どもたちが健康に、安全に暮らせるように役立てたいという意識はWSにおいてまとまったように感じられた。
一方、WSのテーマ設定が比較的大きかったため、議論が抽象的なレベルにとどまりがちだったことが反省点である。冒頭の3人のミニレクチャーを通じて、様々な現場での具体的なデータ利用のされかたを伝えようという意図があった。しかし、もう少しシミュレーション、ゲーミフィケーション的な要素を取り入れて、データ利活用の意義について実感を強めるような、あるいは現場での具体的な対応策を議論できるようなWSの設計にしたらよかったかもしれない。
WSの録音について、一部参加者に「録音されていると思うと緊張して、つい優等生的な意見になってしまう」という声があった。筆者がこれまでに参加してきたWSでは、録音がないことが多く、とっぴだったり少し乱暴だったりする意見が、のちのち意外なところで生きてくるという経験をしたことがあった。記録は必要だが、録音には利点も欠点もあると感じた。

アイテム

PC、プロジェクタ、wifi環境、模造紙、ポストイット、ペン

開催日時

2019年10月11日

場所

東京大学本郷キャンパス 医学部3号館3階N307

参加者・人数

合計9名/自治体職員2名、児童相談所職員2名、小児科医師1名、保健師1名、臨床心理専攻1名、公共健康医学専攻1名、元GCL生(撮影・録音アシスタントとして)

講師/ファシリテーター

増田 理恵(医学系研究科健康科学・看護学専攻D3)

原稿執筆:増田 理恵