Communarium: A Tool to Create Shared Value among a Community
In recent years, words such as SDGs (Sustainable Development Goals) aiming for coexistence of nature and human society and sustainable development of the natural environment have come to be discussed. This project took Yokohama Minato Mirai Honcho Elementary School, which opened this year, as a case study. Three sectors (elementary school teachers, private company workers in the area where the elementary school was established, and the GCL students) got together to design an ESD (Education for Sustainable Development) program utilizing the periods of integrated study during which children consider the coexistence of nature and human society and sustainable development.
On the first day of this workshop conducted at Minato Mirai Honcho Elementary School, in teams of five to six people, we first conducted an exploration of the elementary school called “Minato Mirai Quest,” which served as an ice breaker. We set up checkpoints in the places where participants could see the view from the elementary school windows, so that participants could understand the context of the area in which the elementary school was established. Next, participants were asked to imagine themselves as people living in 2028 and to discuss the shared values of the future residents in the area. After that, they created a “communarium”- a physical representation of those future shared values. Finally, participants were asked to discuss content for the integrated study sessions that will lead to a future Minato Mirai area that has the shared values represented in the communarium. On the second day, at the University of Tokyo’s Faculty of Agriculture campus, we did a meta-review of the previous day’s workshop to learn how to make a workshop.
There were three major outcomes from this workshop. The first is a summary of the future shared values in the region, the second is the communarium, which physically represents the participants’ vision for the shared values of the future, and the third is a draft program of integrated study that can now be done in an elementary school. The communarium was designed to be taken home after the workshop as a reminder of the results and discussions of the workshop.
企画の背景
近年、自然環境と人間社会の共存と持続可能な発展を目指すSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)といった言葉が取り沙汰されるようになった。本企画は、東京湾に学区が面しており、2018年度に開校した「横浜みなとみらい本町小学校」を事例として、子どもが「自然と人間社会の共存と持続可能な発展」について考える総合学習の時間を利用したESD(Education for Sustainable Development:持続可能な開発のための教育)の総合プログラムのデザインを、当該小学校の先生、小学校がつくられた地域にある民間会社、東京大学GCL学生の3者が集まり行うことを目的とした。
どんなワークショップ?
みなとみらい本町小学校にて行われた本ワークショップの初日では、各テーブル5~6名1チームとして、まずアイスブレイクを兼ねた「みなとみらいクエスト」と称した小学校内探検を行った。その際、小学校の窓から外の景色を見てもらえる場所にチェックポイントを置き、小学校がつくられた地域の文脈を見てもらうようにした。次に、「2028年の将来人」となって将来の当該地域において住民に共有されていると考えられる価値を考えるというワークを各テーブルで行い、その後、将来の共有価値を物理化したコミュナリウムを作成してもらった。最後に、物理化された共有価値を有する将来のみなとみらい地域を実現するための総合学習プログラムの考察を行ってもらった。2日目は、場所を東京大学農学部キャンパスに移し、前日のワークショップの振り返り、構成の仕方などの種明かしを行い、メタ的に自ら参加者として経験したワークショップの振り返りと、その成果の反芻、そして印象づけを行った。
プログラム
1日め | ||
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10min | はじめに:趣旨説明など | |
30min | アイスブレイク:みなとみらいクエスト | |
40min | ワーク1:地域の未来における価値を考える | |
10min | (休憩) | |
90min | ワーク2:みなとみらいコミュナリウムづくり | |
30min | ワーク3:ちょっとなかった総合学習プログラムを考える | |
30min | 共有:発表 | |
10min | まとめ:振り返り | |
2日め | ||
10min | 導入:二日目のスケジュール共有とウォームアップ | |
50min | 共有:前日のワークショップの感想 | |
15min | (休憩) | |
45min | レクチャー:ワークショップの構成や流れ | |
30min | レビュー:前日のワークショップの流れを追体験 | |
60min | ワーク:マンダラートを使用したワークショップ案の試考 | |
30min | まとめ:発表&全体リフレクション/ラップアップ |
ワークショップの成果
本ワークショップでは大きく3つのアウトプットがあった。1つ目は、将来における地域で共有されている/されうる価値のまとめであり、2つ目はそれらが物理化したコミュナリウム、そして3つ目は各参加者が考えた価値とそれが具現化したコミュナリウムが組み合わさった将来を実現するために、今現代の小学校において行う必要性のある総合学習のプログラム案である。コミュナリウムは、ワークショップ後に持ち帰ってもらうことで、その日の成果と議論のリマインダーとすることを狙った。
ふり返り
この度のワークショップは、近年の小学校で行われている総合学習の時間の役割を、地域の将来を担う子どもたちと共に未来の地域における価値を創出する試みと定義し、「小学校の総合学習を起点として地域の未来をどうデザインするのか?」をコンセプトとして企画されたものである。人々がそれぞれ自身の頭の中にある将来像を、いかに他人に認識可能な形で視覚化・物理化し、“議論の机”の上に載せるか。そのための仕掛けとして、地域の景観模型を「コミュナリウム」と称して取り入れた。本来小学校が配置される計画ではなかった区画に小学校が埋め込まれたことにより、地域の多様性が高まり、そのコストも生じる中で、地域の民間企業と小学校の総合学習の時間において行われる各種アクティビティを有機的につなげる学術的な知見の提供と、ソーシャルICTの利活用、そして、小学校を基点とした地域の共有価値の創出(creating shared value)をどのように実現することができるかを考え、ソリューションを提示する一つの方策を、小学生でも参加しやすい形で参加者に提供することができたことは、本取り組みの成果であったと考える。
アイテム | 模造紙、付せん、石膏土台、彫刻刀、日用品雑貨、ワークシート、ジオラマ作成素材 |
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開催日時 | 2018年 7 月 21 日(土)・22 日(土),いずれも13:00-17:00 |
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場所 | 横浜みなとみらい本町小学校(1日め) |
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参加者・人数 | 6名 |
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講師/ファシリテーター | 林直樹(金沢大学人間社会研究域人間科学系 准教授) |
原稿執筆:杉野弘明