Service Development Using Wireless Short-Distance Communication Technology

In this workshop, five GCL students developed a quiz rally app for smartphone, using short distance wireless communication technologies such as BLE (Bluetooth low energy) and NFC, which have been key in the development of recent location-based services. The developed app was deployed at the University of Tokyo’s Komaba-sai festival, from November 22-24, 2014.

The GCL students played two different roles in this workshop. Two students were the developers, and three students were the participants who sent feedback to the developers. This workshop consisted of three parts. In the first part, the participants evaluated the prototype and sent feedback to the developers. The second part was the deployment at the Komaba-sai festival, where the participants observed the actual users and the developers collected and analyzed the access log. In the third part, the participants and developers discussed how to further improve the service, based on their observations and the analyzed access log.

This workshop included many activities such as software development, service operation, and data analysis. Through these activities, GCL students were able to gain useful knowledge about application service development, which may be effectively utilized to develop their own projects.

企画の背景

本ワークショップの目的は、東京大学駒場祭をターゲットに、ICTを活用したサービス構築にコース生が主体的に関わり、その結果を学際的に議論する機会を提供することにある。

近年のスマートフォンなどの普及に伴い、ユビキタス・コンピューティング技術は我々の生活の一部となりつつある。特に、BLE(Bluetooth Low Energy)やNFCといった近距離無線通信技術を活用し、スマートフォンと環境が連携するようなモバイル・アプリケーションが、容易に実現できるようになった。これまでにGCLコース生が中心となり、インターン先企業の協力を受けて開発したスタンプラリーアプリを、東京大学五月祭で運用し、実際に234名の来場者が参加した。

この成果を踏まえ、コース生が駒場祭というフィールドでの開発、運営、結果の分析といった一連の活動を行い、ICTを活用したサービス構築を経験することができるワークショップを企画した。

どんなワークショップ?

*本ワークショップの参加者には、実際のソフトウェア開発を進めてきた学生2名が含まれている。そこで、この2名の開発者に対して、残り3名の学生がコンサルティングを行うというスタイルで、ワークショップを進めることにした。

*キックオフにおいては、以下を行った。まずイントロダクションとして、趣旨と背景となる近距離無線通信技術について教員が説明を行った後、開発側学生が東京大学五月祭におけるスタンプラリーアプリの結果と、東京大学駒場祭に向けて開発を進めているクイズラリーアプリの仕様を説明した。参加者は実際に開発中のアプリを体験し、問題点や改善点のリストアップを行った。これらのフィードバックを受けながら、開発側の学生が中心となって当日までの改善点などをホワイトボード上でまとめた。

*駒場祭期間中、開発側学生はスタンプ台のセットアップやアプリケーションのメンテナンス等を実施した。それに対して参加側学生は、実際に駒場祭に参加してアプリを体験し、利用状況の確認などを行った。これらの結果は総括までに、各参加者が整理を進めた。

*総括においては、以下を行った。まず開発側学生から、当日の結果について報告があった。ここでは、キックオフからの改善点のほか、当日の利用ログなどが報告された。次に参加者から、当日の現地での状況について報告があった。これらの報告をもとに、参加者からのフィードバックを受けながら、開発側の学生が今後に向けた改善事項を分類・整理し、ホワイトボード上でまとめた。

プログラム

1日目:キックオフ
60min

イントロダクション

30min

アプリの体験

90min

フィードバック

60min

まとめ

2-4日目:駒場祭

それぞれ120min程度 利用状況の行動観察

5日目:総括
60min

開発側からの報告

60min

参加者からのレポート

120min

総括

ワークショップの成果

・開発側の学生は、東京大学駒場祭におけるクイズラリーアプリという具体的なサービスを、実際に開発することができた。他の参加者の学生も、このサービスにおいて、開発、運営、結果分析といった一連の活動に、主体的に携わることができた。開発したサービスは、Android版は138名、iOS版は193名がインストールし、合計310名のユーザが参加したという結果が得られている。この過程では、例えば事前のユーザ視点でのシミュレーションの重要さや、ログ分析の重要性などを学ぶことができたと考えられる。

・教育的観点からは、当日「うまくいかなかった点」からの学びも多かったと言える。例えば、当日状況確認を行った参加者から事前に意図していない利用方法なども報告され、開発側の学生と連絡を取りながら改善を試みたが、運用中のサービス改修は難しく、100%の改善とは至らなかった。このような反省点も、総括のワークショップを通じて参加した学生間で共有・議論され、次回以降に向けた具体的な提案を、機能面、運用面、取得すべきログ等の観点で分類してまとめることができた。このような活動を通じて、様々なプロジェクトに適用可能な知見を身につけることができたと考えられる。

ふり返り

・ワークショップ自体は問題なく進行し、キックオフ・総括のそれぞれにおいて、参加者の学生を中心とした建設的な議論が行われた。またスマートフォン向けアプリという目に見える成果物があり、実際にユーザに使ってもらう機会を与えたことで、教員の事前の期待以上に、コース生は熱心に開発に取り組んでいた。この点では、ワークショップは概ね狙い通りに実施することができたと言える。

・一方で、当初は今回利用した技術の他サービスへの適用の可能性などについて議論し、新しいサービスの提案という形でのアウトプットを期待していたが、議論の焦点が今回実施したサービスの改善に偏りがちであり、そのようなアウトプットには繋がらなかった。この点を改善するためには、そのような議論が起きるような仕掛けを、事前に教員がある程度準備しておくことなどが効果的だと考えられる。

アイテム

スマートフォン
BLE(Bluetooth Low Energy)マーカー
NFCタグ
QRコード

開催日時

キックオフ: 2014.11.15(土)
駒場祭: 2014.11.22-24(土-月)
総括: 2014.12.7(日)

場所

東京大学本郷キャンパス・ダイワユビキタス学術研究館
1階講義室、および東京大学駒場キャンパス

参加者・人数

参加人数:5名(教員を除く)
学際情報学府RA2名、学際情報学府コース生3名

講師/ファシリテーター

別所正博
(東京大学大学院情報学環GCL特任講師)
会田大也
(東京大学大学院GCL GDWS特任助教)
後藤智香子
(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻特任助教)

原稿執筆:別所正博