Making 100 Yen Items Look Luxurious ― How to Produce the Media Image

What makes you feel whether a fashion is cool or not? We often see an item’s superficial image, not its essence. These images seek to manipulate our desire to consume. The information we receive consists of many symbolic images designed and produced by the media. This workshop aimed to analyze the composition of images in magazines. We analyzed “LEON,” one of the most popular male fashion and lifestyle magazines, and tried to re-edit it. Using the style of the symbolic images that distinguish each magazine, we tried to make 100 yen items look like luxury ones and, in doing so, better understand the production of the media image. Our interest was in finding the symbols in the media that serve to define an item’s value, and also realize how these symbols function in daily life.

企画の背景

 なぜ、その服を「カッコイイ」と思うのだろう? 服や靴に感じる魅力は、じつのところモノそれ自体には備わっていない。メディアという眼鏡を通してはじめて、「カッコイイ」「買いたい」という欲望を刺激するような価値が付与されている。
 本ワークショップでは、男性向けファッション雑誌『LEON』を題材に、ファッション雑誌を実際に編集することで、グッズに「雑誌らしさ」を付与してより魅力的に見えるよう発信する活動を企画した。発信者になる経験を通して、日常生活においても、メディアによる魅力やイメージの演出に自覚的になることを狙いとしている。

どんなワークショップ?

 「知る活動」では、『LEON』の特徴や編集上の意図を分析した。ワーク1では、ライバル誌と比較しつつ、雑誌から気づいたことや『LEON』ならではの雑誌イメージを挙げていった。ワーク2では、表現上の工夫について特徴や意図についてグループで意見を交換した。
 「創る活動」では、『LEON』の1ページに掲載されるという想定で、100円ショップのグッズを紹介する誌面(写真+キャッチコピー)を実際に作成することにした。ワーク3で、100円グッズを実際に身につけ、「知る活動」で見つけた表現上の工夫を踏まえて写真撮影を行い、その後、撮った写真から1枚を選んで、キャッチコピーをつけ、誌面を作成した(ワーク4)。
 作品共有では、自分たちの発見した『LEON』のイメージや表現上の工夫が、実際に作成した誌面にどのように反映されているかを発表してもらった。最後に、ファシリテーターが事前に『LEON』の元編集者に行ったインタビューを紹介し、実際の編集者の視点も踏まえたうえで、今回の活動を振り返った。

プログラム

アイスブレイク
10min

オープニング、自己紹介

20min

ピッチャー&バッターゲーム

知る活動

ファッション誌の作り方を知ろう

15min

ファシリテーターによる説明

30min

ワーク1:ファッション誌の比較分析

30min

ワーク2:編集上の工夫を見つける

創る活動

ファッション誌の1ページをつくろう

10min

ファシリテーターによる説明

50min

ワーク3:グッズを身につける、写真撮影

30min

ワーク4:キャッチコピーをつける

10min

休憩

まとめ
20min

作品発表

15min

感想共有、まとめ

ワークショップの成果

参加者からは、前半の雑誌分析について「編集者のイメージを割と正確に読み取れていた」など、メディアによる魅力やイメージの演出に気がつくという学習目標を達成できた感想が聞かれた。後半の編集活動では、「作り手がいかに作り込んでいるのか分かった」「雑誌の特徴を反映したフレーズ作成が難しかった」といった感想があった。メディアによる演出を意識していても実際に表現するには別の難しさがあるという点も、今回の活動による学びの成果であろう。

ふり返り

メディアによる魅力やイメージの演出に自覚的になる、という企画段階で想定していた学習成果とは別に、「自分のイメージをどう作るか」「人にどう見られるようにするか」という自分の身体を使うことの難しさについても学びのある活動になった。
反省点としては、『LEON』という雑誌のイメージに引きずられた結果、活動が「楽しい」止まりになり、そこで学びが止まってしまった点が挙げられる。雑誌の表現の特徴を掴んで真似ることは容易にできても、「何のためにその表現をしているのか」というところまで上手く繋げることができなかった。活動で体験したことを、より本質的なところまで深めたり、より日常の文脈に寄せたりする工夫が足りなかったように思う。

アイテム

100円ショップのグッズ多数、男性向けファッション雑誌(『LEON』『MADURO』『Safari』)、付箋、ワークシート、ノートパソコン、デジタルカメラ

開催日時

2015.9.25(金)13:00 - 17:00

場所

東京大学大学院情報学環福武ホール・ラーニングスタジオ3

参加者・人数

3名
GCLコース生2名、GCLコース生外1名

講師/ファシリテーター

川野晟聖(東京大学大学院学際情報学府 修士課程)
杉山昂平(東京大学大学院学際情報学府 修士課程)
前田真美(東京大学大学院学際情報学府 修士課程)
米井佳寿子(東京大学大学院学際情報学府 修士課程)

原稿執筆:川野晟聖、杉山昂、前田真美、米井佳寿子