Game Playing Workshop

This workshop was held on July 12 and October 10, 2014. Participants played board games which were prepared by a facilitator. After playing these games, they undertook a meta-reflection of their experience. During meta-reflection, the facilitator mentioned some important considerations about how to engage players smoothly and improve the games’ functionality.

企画の背景

ファシリテーションの基本姿勢を伝えるために、簡単なハンズオン*(本ワークショップにおいてはボードゲーム)を準備し、それを参加者に体験してもらった上で、その場をファシリテートする際に配慮していた項目を伝えた。人が集まってゲームを楽しむ、というシンプルな構成ではあるが、その中にもワークショップ・ファシリテーションの基本的な考え方が詰まっている。ゲーム終了後に行われる「メタリフレクション」という手法を通じて、ワークショップ・デザインの初歩的な考え方に触れてもらう目的で開催した。

 

* 自分の手で何かの作業を行いながら、物事を理解したり表現したりすること。ワークショップのメインの活動となる。

どんなワークショップ?

本ワークショップは3回実施計画され、1回目は応募者少数のため開催されなかった。ボードゲームという教材を選んでいる以上、予定よりも少ない人数の場合はゲーム自体が成立しないためにやむなく中止となった。2回目以降は順調に開催された。

このワークショップでは、まず簡単な自己紹介を行なった後、準備されたボードゲームのルールを説明する。事前にワークショップの前提や狙いなど、過剰な説明を行なわなかった。ゲーム中は「ゲームそのものはワークショップのモチーフにすぎない」ことをあまり気にせず、ゲームに集中して楽しんでもらうようにした。ゲームの実施は、ルール確認の側面が強いRound1と、ルール確認が済んだ後に本当に楽しんで行なうRound2以降がある。時間のある限りRound2以降を実施するようにした。ゲームにはそれぞれ勝ち方のコツがあるが、これについても抑制を効かせて解説しすぎず、参加者自身がコツを発見するように促した。

一通りゲームが終了した後は、メタリフレクションを行なった。最初の自己紹介のシーンから、ゲームに集中してもらうためにどのような配慮があったのか、ゲーム中に過剰に解説を挟むと場が白けたかどうか、といった視点で振り返りを行う。つまりファシリテーターがどのような意識で場を仕切っていたのかを、シーンごとに説明する。「あなたがゲームのホストだったら、どんなことに気をつけて進行するか」といった質問を投げかけ、参加者同士で話し合ってもらうことで、ファシリテーションの基礎的な心構えについて理解を促す。つまり、「一方的に喋って情報を提供するのではなく、参加者がいかに頭を働かせて能動的に楽しみながら何かを知っていく場を創造できるか」という課題を理解してもらうことを主眼とした解説を行っ

プログラム

10min

自己紹介

10min

ゲームの目的とルールの説明

20min

ゲームRound1を行う

10min

ゲームの評価

30min

ゲームRound2を行う

20min

感想の共有

20min

メタリフレクション

ワークショップの成果

WS A Smallは、WSのなかで最も小さな単位であると同時に、気軽に参加してワークショップ・デザインやファシリテーションのコツについて視野を広げる第一歩となる重要な場である。楽しめる要素を盛り込み、気軽に参加できる雰囲気を作ることが重要だが、どうやってそういう雰囲気を作ることができるのか?についてメタリフレクションの場で理解を促した。

ワークショップの中では、その日にどんなことを経験したかを言葉によって振り返る「リフレクション」というシーンを設けることがある。これは、ワークショップのメインとなるハンズオンのシーンに突入している段階においては、参加者自身が「それが一体何なのか」を一歩引いた目で理解するのが困難であるから、ハンズオン終了後に活動自体を引いた目線で捉えて、言 葉で記憶に定着させるためのシーンである。今回行なったのは、ゲームそのもののまとめにはあたらないので、リフレクションということにはならず、さらに一歩引いた目線で「今回のワークショップ(ゲームを用いた場の設定)が、どんな構造をもって進行されていたか」を振り返るという意味で、メタリフレクションと呼んだ。参加者からは「普通にゲームを楽しんでいるだけだったが、実はそういう場を作るためには進行役の配慮があることを知ることができた」といった感想が聞かれた。

ふり返り

ゲームそのものの特性にもよるが、今回のワークショップで選択したゲームは、比較的1回の遊びに時間がかかるものだったため、終了時刻のコントロールが難しかった。終了予定時刻が近づき、メタリフレクションを行なう時間が少なくなることがあった。

進行しながら写真によるドキュメントを撮影したが、開始時や終了後に自身で説明をしているシーンは撮影ができなかったため、やはり小さなワークショップであっても、記録をしてもらえるサポート役の重要性を感じた。ワークショップというのは、その場かぎりで終わってしまうので、ドキュメンテーションの重要性についてGDWS 全体で理解をしていく必要があると感じた。

アイテム

ボードゲーム「スコットランドヤード」
広辞苑(ゲーム「フィクショナリー」に使用)
コピー用紙
鉛筆

開催日時

2014.9.12(金)
2014.10.10(金)

場所

東京大学本郷キャンパス情報学環福武ホール・コモンズ

参加者・人数

参加人数:延べ10名
総合教育科学2名、公共健康医学3名、知能機械情報学1名、学際情報学府2名

講師/ファシリテーター

会田大也
(東京大学大学院GCL GDWS 特任助教)

原稿執筆:会田大也