May Camp, 2015

This camp had two objectives. The first was to deepen mutual understanding among GCL students in order to promote future collaborations. The second was to have each student clarify their own research. Having to explain their research to people of different disciplines was expected to help them to sharpen their focus.
The program was organized as follows: At the beginning, an outdoor workshop was held to get to know each other and facilitate future collaborations among the students. Secondly, participants visited Fanuc Corporation, one of the most famous industrial machinery companies. Participants were guided through the company’s factories. They also had a chance to discuss visions for the future with the CEO and other executives of the company. After the visit, executive officials of the Japanese government gave talks regarding social ICT and public policy. On the last day, a World café session was conducted. In this session, participants explained their own research and tried to create a collaborative research project with members of the same tables.
Students took the initiative to plan the program of the camp. A survey after the camp showed that the participants were highly satisfied. The aforementioned objectives were achieved through the active participation of students and faculty members.

企画の背景

 主に次の二つの目的をもって、2015年度の合宿を企画した。第一は、GCLコース生の相互理解の促進である。お互いのことをよく知り協働の基盤をつくることを目指した。第二は、自らの研究課題の明確化である。各自が取り組むべき社会的課題を共有する機会が、そのような明確化につながることを期待した。
 また、学生による企画立案に努めた。このため、事前に、合宿企画のためのワークショップ(WS)を開催した。上述の目的のほか、次の内容が同WSで立案された。
(1)合宿前に、各自で専門分野や研究課題についてのプロフィールを用意し、共有できるようにする。(2)The 官僚の方々のお話を伺い、社会的課題に関する理解を深める。(3)合宿中に、あらかじめ用意したプロフィールを用いて相互に説明し、質問し合う。(4)合宿の最後に、合宿期間中の質問やコメント・アドバイスを踏まえて、プロフィールを書き直す。また、山中寮の環境を活かして(5)相互理解促進のための(研究とは離れた)協働アクティビティを行う。(6)ファナックの工場を見学する。

どんなワークショップ?

 初日は、貸切バスで本郷キャンパスを夕刻に出発し、山中寮まで移動した。
 二日目の午前は、相互理解促進のための(研究とは離れた)協働アクティビティを行った。午後前半には、山中寮近くにある、ファナック社の工場見学をした。午後後半には、中央省庁の幹部官僚である鈴木茂樹・局長(総務省)および松永明・大臣官房審議官(経済産業省)から、ソーシャルICTに関する政策などをテーマとする講演をいただいた。夕刻には、全参加者による懇親会を開催した。
 三日目の午前は、各自の研究に関する相互インタビューと、それにもとづくコラボレーションの可能性を考える「ワールドカフェ」を行った。その後、ワールドカフェを踏まえてプログラム担当者らによるトークセッションを開催した。昼食後に合宿全体のふり返りを行い、貸切バスで本郷キャンパスに戻った。

プログラム

5.8  18:50 

集合

5.8  21:15 

山中寮到着

5.9  8:30-9:00 

富士癒やしの森散策

5.9  9:00-11:30 

相互理解アクティビティ+昼食(山中寮中庭)

5.9  13:00-15:15 

ファナック株式会社工場見学

5.9  16:30-18:00 

幹部官僚による講演会(同セミナールーム)

5.9  19:00-22:00 

懇親会(同食堂)

5.10  8:30-9:30 

富士癒やしの森散策

5.10  9:30-12:30 

ワールドカフェ+トークセッション(同セミナールーム)

5.10  13:30-14:00 

まとめ(同食堂)

5.10  14:30 

出発

5.10  17:00

東大本郷キャンパス到着

ワークショップの成果

合宿の二つの目的、すなわち、GCLコース生の相互理解の促進とお互いのことをよく知り協働の基盤をつくることについては、概ね達成することができた。具体的には、次項(ふり返り)で紹介するアンケートコメントにみられるように、創造的な活動に向けて、学生による主体的な協働の可能性が示されるものであった。また、年度当初に合宿を開催したことにより、年度内のGCL活動をよりアクティブにする効果があった。
なお、合宿後に参加学生向けに行ったアンケート結果(N=60、回収率87%)によれば、次項に示すとおり、ほとんどのプログラムで「大変よかった」と「よかった」の合計が8割以上となった。

ふり返り

合宿終了後のアンケートでは、次のようなコメントが残された。学生の主体的な計画により、達成度合の高い合宿となったことを踏まえ、次回以降も学生の積極的なコミットが望まれる。
(以下、アンケートのコメントからの抜粋)
・全体について
-自分の狭い領域以外のものの見方や考え方に触れることができてとても良かった。
-合宿終了後もGCLのメンバーで積極的に集まろうということで、イベントを企画。これからの協働の基礎となったことは間違いない。
-多種多様な技術があることを知ったことで、自分自身の想像の限界の突破につながった。
・工場見学について
-社会問題解決の現場をみることは重要で、工場に実際行けたのはとても良かった。
-日本のものづくりや工学魂みたいなものに触れることができた。
・The官僚講演について
-知識を学ぶだけでなく、日本政府が今何に注目しているのか、どういう方針に取り込んでいるのかについて理解できたので、有意義だった。
-これからの日本の課題等自分にはない視点で語られとても有意義だった。
・ワールドカフェについて
-新しい分野への興味が湧き、今後はニュースや新聞等でその類の話にも注目することで知見を広げていきたい欲求にかられている。
-かなり踏み込んだ話ができたり、この人と協働したいという気持ちが湧き上がるものだった。
-自分の知らない世界を知っている人と出会い、話し,刺激を受ける、実り多い時間だった。
-他分野の学生から自分の研究の評価を聞き、普段考えていない視点から、自分の研究を検証できたのは、良かった。
-相互理解や創造する思考過程を学べたことはとても有意義で学び深いものだった。
-同じグループになった学生で連携の糸口を探ることで、似たような関心や課題を持つ学生がいることがわかったので、今後相互作用を作っていきたい。

アイテム

屋外ワークショップ、ワールドカフェなどに使用するアイテム多数

開催日時

2015.5.8-10(金〜日)

場所

東京大学山中寮内藤セミナーハウス

参加者・人数

学生68人(GCLコース生、RA/TA)
プログラム担当者・教員など20人

講師/ファシリテーター

國吉康夫(東京大学GCLプログラムコーディネータ)
田中秀幸(学生指導委員会委員長)
苗村健(東京大学GCL GDWS機構長)
会田大也(東京大学大学院GCL GDWS特任助教)
ほかプログラム担当者、GCL特任教員

講師:
鈴木茂樹(総務省情報通信国際戦略局長)
松永明(経済産業大臣官房審議官)

原稿執筆:田中秀幸