Vitalizing a Local Economy through ICT

This workshop aimed to contribute to local revitalization projects in Japan through the use of ICT (information and communications technology). The ICT tool we focused on was the LocalWiki system that is maintained by a non-profit organization based in San Francisco. The wiki is organized to collect, share and open the world’s local knowledge. There are more than 300 communities from all over the world active on LocalWiki.
Two fieldwork projects were conducted as part of the workshop. The first focused on the Muroran LocalWiki in Hokkaido. The Muroran LocalWiki is one of the most active communities in Japan. Participants of the workshop visited the city of Muroran on September 26 and 27, 2015. The second focused on the Tomisato LocalWiki in Chiba. The Tomisato LocalWiki had just started, in July 2015. We chose this LocalWiki as one at an early stage of development. The participants visited the city of Tomisato on November 15, 2015.
The participants of the workshop conducted fieldwork in each city with residents and city government officials in order to understand every facet of life in the local community such as its history, streets, shops, cultural heritage, social movements, and townspeople. They found various interesting features that might lead to local revitalization. Moreover, they edited articles of the LocalWikis with community members based on the findings of the fieldwork. The activities of the workshop were positively responded to by community members in both areas. We hope that the activities of the workshop have contributed to local revitalization.

企画の背景

 市町村レベルの地域の課題解決と地方創生のためのICT利活用実践を目的として企画した。具体的には、インターネットメディアや地図データを活用して各地域で取り組んでいる活動に参加し、その中で具体的なプログラムを提案し実践する。また、米国やアジア地域において同様の取り組みを進めているコミュニティと連携し、グローバルな展開も念頭においた取り組みとする。

どんなワークショップ?

 第1回WSでは、室蘭市での取組みについて、講師の杉山氏の講演を通じて理解を深めたほか、フィールドワーク(FW)の行動計画について検討した。第2回WSでは、函館市と室蘭市を訪問した。函館市では、日銀函館支店長の沼本氏から地域経済の現状と課題について講義を受け、質疑応答等を通じて理解を深めた。室蘭市では、商店街の取組みなどの説明を受けたほか、地域住民の方とともにFWを行い、その結果を室蘭Localwikiの記事として公表した。第3回WSでは、富里市での取組みについて、講師の杉山氏の講演を通じて理解を深めたほか、FWの行動計画を検討した。第4回WSでは、千葉県富里市を訪問した。地域の文化財を核とした取組みについて、富里市教育委員会の方からの説明を受けた。また、富里市産業まつりに参加して、事業者からの聞き取り調査などを行った。これらの結果を、富里Localwikiのいくつもの記事としてまとめて公表した。

プログラム

第1回WS(9.4)

室蘭市の取組み理解、FW実施計画検討

第2回WS(9.26、27)

函館市でのFW、室蘭市への移動
室蘭市輪西地区商店街振興の取組み理解、室蘭市内FW、室蘭LocalWiki記事作成(一部、翌日以降

第3回WS(11.14)

富里市の取組み理解、FW実施計画検討

第4回WS(11.15)

旧岩崎家末広別邸における地域文化財の取組みの現地調査、産業まつり参加を通じた事業者ヒアリングなど、富里LocalWiki記事作成(一部、翌日以降)

ワークショップの成果

FWの結果、室蘭LocalWikiと富里市LocalWikiで参加者自身が記事を作成し、公表することができた。これらの活動を通じて種々の課題に直面している地方社会の中で、そこに暮らす人々が自らの街をどのように捉えて、取り組もうとしているか、またウェブメディアをどのように活用しようとしているかについて一定の理解を深めることができた。地元の方からも「院生の皆さんから次々に質問が飛び、聞いてるだけの私でもとても勉強になり、輪西がもっと好きになった」(室蘭LocalWiki記事からの転載)などのポジティブなコメントをいただいた。

室蘭LocalWikiのWS関連記事
https://ja.LocalWiki.org/mr/tags/2015927gcl
富里市LocalWikiのWS関連記事
https://ja.LocalWiki.org/tomi/tags/20151115gcl

ふり返り

2つのフィールドにおいて、行政機関の方だけではなく、地域住民や事業者の方々と時間をかけてしっかりと意見交換などを行うことで、地域社会が直面する課題や地方創生に向けての取組みについて理解を深めることができた。特に、LocalWikiという手段を用いたことにより、現地でのフィールドワーク後にも、記事の編集を通じてフィールドの方々と交流を続けることができた。こうしたことで、FW終了後にGCLの活動が各地の関係者の方々にどのような影響を及ぼしているのかについても理解することができた。
今回のWSにおいては、教員側は活動するフィールドの提供にとどめ、具体的な活動をどうするかなどは、参加学生がすべて計画して実行した。地方創生とローカルICTという漠然としたテーマであり、かつ、参加者にとってはじめての場所での活動であるにもかかわらず、多数のLocalWikiの記事などの結果を出したことは、参加者の取組みの質の高さを反映している。
ただし、いくつかの留意点が残されている。一つは、一過性の取組みに終わりかねないという課題である。数々の課題に直面する各地での地方創生は、短期間で実現するものではない。今回のWSは各地で1回の開催にとどまっている。WS後にLocalWikiの記事の編集を通じてフォローはしているものの、引き続き、何らかの形でのフォローが望ましい。もう一つは、グローバルな取組みとの関係である。LocalWikiは米国で発祥し、各地で展開し、一定のコミュニティが形成されている。米国では、今回のWSのフィールドよりも活発に活動が続けられているところがあることなどを踏まえると、LocalWikiのコミュニティと連携して調査を行い、さらに日本での地方創生の取組みにつなげることも考えられる。WS-Bとしての活動は終了したが、2015年度中に今回のメンバーの一部で、米国での調査等を行う予定である。

アイテム

LocalWiki (https://ja.localwiki.org/)

開催日時

2015.9.4(金)、9.26-27(土・日)、11.14(土)、11.15(日)

場所

9.4 東京大学大学院情報学環本館2階教室
9.26 函館市地域交流街づくりセンター
9.27 室蘭市民会館
11.14 東京大学工学部2号館93B教室
11.15 富里市役所、旧岩崎家末広別邸

参加者・人数

6名
GCLコース生M1(電子情報学、都市工学、学際情報学、マネジメント)、GCLコース生D1(マネジメント)

講師/ファシリテーター

講師:
田中秀幸(学生指導委員会委員長)
杉山幹夫(和歌山大学観光学部 特別研究員)

原稿執筆:田中秀幸