Regional Revitalization Design Workshop

Many cities in Japan urgently need to introduce regional revitalization projects that address population decline and their rapidly aging society. From an urban planning viewpoint, tourism is a magnet for economic vitality and the enhancement of regional attractiveness. In this workshop, participants proposed attractive tourism strategies for the small Japanese rural town of Kamiichi in Toyama Prefecture, which is struggling against populational and industrial decline.

企画の背景

近年の訪日外客数の増加は著しく、2013年には年間1000万人を突破した。主要な目的地は、東京を含む大都市や観光地として知名度の高い都市だけでなく、地方都市にも拡大しつつある。また、彼らの訪日への期待も多様化しつつあり、日本文化の体験や日本的ライフスタイルへの興味、日本人との交流等、日本人の日常を体感するような機会を求める傾向にもある。

一方で、我が国が直面する社会構造による影響は地方都市で深刻化しつつあり、このままでは「消滅」しかねない状況も報告されている。政府も地方都市の創生を推進してはいるが、なかなか結果に結びつかない状況に焦燥する現場も少なくない。そこで本ワークショップでは、観光に軸足を置き、地域創生に資するデザイン提案をテーマとした。具体的には、通り一辺倒の観光スポットの紹介ではなく、グローバルな視点、専門性を極めた「目利き」的な感性、各自の研究分野からのアイデアの合流を期待し、「まちに魅了される人を増やす」ことを目的とする観光コンテンツの発掘とツアー提案(SNSでの発信を含む)を行った。また、本ワークショップでは、ビジネスマーケティングと地域創生現場の知見について株式会社電通(富山県上市町地方創生特命参与の加形氏)から、ワークショップの対象フィールドについて富山県上市町からご提供・ご協力いただいた。

どんなワークショップ?

初日である8月23日はオリエンテーションとして、ワークショップの説明、ミニレクチャー、グループ分けとアイスブレイクなどを実施した。9月2・3日はワークショップ本番であり、富山県上市町を訪れて現地視察、グループディスカッション、ツアーのプランニングなどを行なった。10月30日には再び現地を訪れて発表会を実施し、町議会議員、町住民、町役場職員へのプレゼンテーションを行なった。

プログラム

オリエンテーション(8.23)
10min

WS の概要説明

10min

ミニレクチャー

10min

富山県上市町の概要紹介

10min

事前視察報告

30min

観光マーケティングのミニレクチャー

10min

スケジュール説明

30min

グループ分けとアイスブレイク/ディスカッション

ワークショップ1日め(9.2)
13:00-19:00

まち視察

20:00-22:00

ディスカッションとツアーのプランニング

ワークショップ2日め(9.3)
9:00-10:00

1次案発表

10:00-13:00

追加視察

13:00-15:00

ディスカッションとツアーのプランニング

15:00-17:00

2次案発表

(仕上げは各グループごとに東京で作業)

現地発表会(10.30)

町議会議員、町住民、町役場職員へのプレゼンテーション

ワークショップの成果

自身や仲間の価値観を通して体験・体感したことを再評価することで、その土地(上市町)でしかできない体験や住民との交流が当該地の最大の魅力であることを発見し、これらを観光コンテンツとする提案を行った。さらに、提案を実現するために必要な施策にも言及し、町への提言とした。提案の発表は住民と町役場職員に向けて行い、住民にとっての日常がグローバルな視点では非日常で特別な体験になり得ることをアピールした。

ふり返り

多様な学生の参加によって地域の価値をグローバルな視点で再評価するという基本的な目的は、達成されたと考える。また、継続的な息の長い取り組みも地域創生には必要であることへの理解も深まったと考える。しかし、当初想定していた提案内容のSNS発信による影響分析は、時間的制約により行えなかった。

アイテム

カメラ、自転車、インターネット環境

開催日時

2017.8.23(水)、9.2 - 3(土 - 日)、10.30(月)

場所

富山県上市町

参加者・人数

9名(うちGCL生は2名)
(都市工学専攻7名、農学国際専攻1名、情報理工学系1名)

講師/ファシリテーター

小泉秀樹 (東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 教授)
城所哲夫 (東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 准教授)
近藤早映(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 特任助教)

原稿執筆:近藤早映