The Development of a New Service to Empower Teams Supporting People with Developmental Disorders
In recent years, Shimoyama Laboratory has developed several effective mental health services that utilize social ICT. This year, we focused on team building for supporters of people with developmental disorders. The main purpose of this workshop was to develop a new service to empower supporter teams.
First, workshop participants were provided with background knowledge of developmental disorders and ways to intervene. After that, participants discussed new services and ways to promote team building. As a result, we decided to focus our efforts on mothers who have children with developmental disorders, and developed a new service for supporting them. Research on the effectiveness of the service is scheduled sometime soon.
企画の背景
様々なメンタルヘルスの問題の中でも近年、発達障害が注目されている。発達障害は精神障害に分類されているものの、単に個人の問題ではなく環境との関わりによってその病態が変化するきわめて社会的な障害でもある。そのため、発達障害への支援は、教育・福祉・医療といった様々な領域の支援者が連携して実施することが重要であり、物理的な距離を超えてチームとして有効かつ効率的に機能していくという点でICTを活用する余地があると考えられる。この活用可能性については、今年度のS1・S2タームに実施されているGCL講義「メンタルヘルス・マネジメント基礎」ですでに議論されてきた。本ワークショップではこれらの議論を踏まえ、発達障害支援のためのチームワークアプリケーションの開発を行う。
どんなワークショップ?
本ワークショップでは、まず参加者は現代における発達障害の問題と心理的支援、チームワークの基礎について学ぶ。次に、リフレクションを用いたチーム支援について中島久樹氏(モニカ株式会社)から、教育支援ツールについて大橋正司氏(同前)から学ぶ。その後、グループに分かれて、チームワークアプリケーションの開発を行う。最終的に教員や参加者と共に自らのプロジェクトへの参加過程をふり返り、ワークショップ実施者としての働きを検討する。
プログラム
1日め(9.15) | WS の趣旨説明/自己紹介/発達障害・自閉症スペクトラム についての講義/発達障害支援のためのチームワークアプ リケーション案の紹介 | |
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2日め(9.22) | チームワーク体験ワークショップ「理想的な仕事は?」/チー ムワークに影響する要因についてのブレインストーミング | |
3日め(10.13) | 森裕幸氏より発達障害支援の現状・問題点についての講義 /チームワークアプリケーションについてのディスカッション | |
4日め(10.27) | チームビルディングツール「Monica」体験 | |
5日め(11.10) | 発達障害支援のためのチームワークを促進する「問い」の作 成と対象者の検討 | |
6日め(11.17) | 発達障害支援のためのチームワークを促進する「問い」の体 験と対象者の再検討(カテゴリ化) | |
7日め(12.1) | 発達障害版「Monica」Web 版イメージの紹介/「問い」と 対象者の再検討・ブラッシュアップ | |
8日め(12.15) | まとめ・ふり返り | |
※その他、宿題として問いの検討・カテゴリ分類を行った |
ワークショップの成果
最終的なアウトプットは、カード版およびWeb 版の発達障害版チームビルディングツールとしてまとめられた。
ふり返り
発達障害はここ10年ほどで広く知られるようになり、以前に比べるとその支援の必要性も認知されるようになった。一方で、親と学校の先生、本人と医師のように親や本人を中心とした線での支援になっていることが多く、親や本人の負担が大きいのが現状である。今後、支援者同士が情報を共有し、連携して環境を調整していくという面での支援も課題になっていくものと考えられる。しかしながら、個人情報の取り扱いや人的資源の不足といった問題も大きい。そのため、今回のワークショップではまず開発するサービスの対象者を、発達障害児を抱える親に絞ることとした。これは、ICTを用いた現実的な支援の第一歩になると考えられる。
一方で、今回のワークショップで行うことができたのはコンテンツ制作までであり、その効果を検討していくことが今後の課題である。将来的には今回焦点化した発達障害児の母親・父親に使ってもらい、フィードバックを受けることで内容の改善と対象者の拡大について検討していくことが望まれる。また、親同士のコミュニケーションや相互サポートの促進を行いつつ、必要な場合には専門的な支援に無理なくつなげていく工夫を行っていく必要がある。
アイテム | PCまたはタブレット端末、付せん紙、ホワイトボード |
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開催日時 | 2017.9月 - 12月 |
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場所 | 東京大学弥生キャンパス 総合研究棟演習室 |
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参加者・人数 | 6名 |
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講師/ファシリテーター | 大橋正司、中島久樹(モニカ株式会社) |
原稿執筆:菅沼慎一郎