Planning of GCL Camp 2017

The aim of this workshop was to have students design their own GCL Camp curriculum. They discussed concepts, content, logistics and other aspects of the GCL Camp. This year, it was decided that the concept of the GCL Camp would be “What is good collaboration?” Participants came up with prototypes of an icebreaker game, researched a venue for Camp, and designed a schedule. Participants became aware of the importance of responsibility as a result of this workshop.

企画の背景

学習者自身が学びの対象を形づくりながら、そのフレーム構築と共に学ぶべき内容を理解していく、という手法を教育学の文脈で構成主義(Constructivism)と呼ぶ。ワークショップについて学ぶためにワークショップをつくってみる、というのは非常に有効な手段と思われる。 17年度 WS-Bにおいては、ワークショップ主催者の立場を体験し、参加者の体験を構築していくための仕掛け(時間の組み立てや会場のしつらえといった全すべて)を設計していきながら、「ワークショップを組み立てるとはどういうことか」をつかみ取っていく。GCL合宿はそのための非常に有益な体験学習の場となると考え、正式なWS-Bとして合宿計画のワークショップを開催した(本企画は2016年度WS-Bとして年度の後半に実施されていたものであり、2017年度の報告書に掲載する)。

どんなワークショップ?

具体的に行なったことは継続的なディスカッションである。まずはじめに、様々な体験をデザインするために必要な「コンセプト、コンテンツ、ロジスティクス」についてのレクチャーを行なった。合宿の計画においても、最終的には具体的な動作を決定する「ロジスティクス」を設計するわけだが、そのためにはどんな体験をしたいかという「コンテンツ」を決めていく必要がある。そして最も大切なのは、合宿によって何を達成するべきかという「コンセプト」を見失わないことである。往々にして陥りがちだが、楽しいコンテンツを羅列しただけではコンセプトを達成し得ない。今年度の合宿に対しては「様々なコラボレーションの在り方を体験し、今後GCL生がコラボレーションの善し悪しを直観できるようにする」というコンセプトが決められ、そのために「社会課題:ニーズベースのコラボレーション」や、「メンバーの持つ技術:シーズベースのコラボレーション」をグルプワークで体験してもらった後に、最終的なグループワークへとつなげるという流れを設計した。

プログラム

2017.1.9

第1回会議 顔合わせ/レクチャー

1.12

第2回会議 コンセプト決め/前回合宿のふり返り

1.19

第3回会議 会場検討/役割決め

1.26

第4回会議 会場優先順位、アイスブレーク/懇親会アイデア

2.9

第5回会議 エクスカーション工場見学プログラムの検討

2.16

第6回会議 ゲストレクチャーの検討

2.23

第7回会議 アイスブレーク実験の検討

3.2

第8回会議 具体的な合宿スケジュールの策定

3.9

第9回会議 工場見学問い合わせ結果>不可。再検討

3.16

第10回会議 タイムスケジュールに添って内容詳細を検討

3.23

第11回会議 引き続きタイムスケジュール詳細を検討

3.30

第12回会議 全体ロジスティクス構築の検討

5.12 - 14

合宿本番

ワークショップの成果

2017年度の合宿を実施したことが最大の成果である。実際の合宿では、アイスブレークによりリラックスした雰囲気がつくられ、学生たちは社会ニーズ、技術シーズという2種類のコラボレーションのトライアルを体験した。その後、最終的なグループワークを行い、グループごとにポスターセッションや1分プレゼンをした後に、全員投票によるコンペティションが行なわれた。

実際に合宿が行なわれた後の6月には、GCLオフィシャルのプロジェクトプロポーザル(資金が獲得できるグループ研究のプロジェクト)に対して、この合宿で集まったと思われるメンバーでエントリーするチームもあった。合宿がGCL生のコラボレーションの萌芽になることは、本ワークショップに参加して計画を練ったメンバーの何よりの喜びだろう。

ふり返り

どれだけ精緻に議論を重ねても、当日のファシリテーションのセリフひとつで、参加者に意図が伝わらなかったりする。時間設計についても、「盛り上がっている時に打ちきりになる」「いまいち盛り上がりにかけてダラダラと時間が流れる」といった状況に陥らないように、参加者の集中力低下などを読み切って適切な進行を行なうことは非常に難しい。初めて計画するワクショップが80人もの学生が参加する合宿である、というのはいささか荷が重いはずだが、本ワークショップに参加した学生は、ミーティング以外の時間にも調査をしたりオンラインで意見を交換したりと、非常に意欲的に取り組んだ。

彼らが自分の研究と結びつけたWS-Cを行なう際には、ワークショップの計画だけでなく論文との整合性なども考慮する必要があり、本ワークショップで得たものをそのまま応用できるわけではないが、この経験を参考にしてもらいたい。「受講者の体験をデザインするとは、どんなことなのか」「何に気を遣って、どんな部分は参加者を信じてファシリテーションを進めればいいのか」といった細かな知見が蓄積されているはずである。今後、彼らが充実したワークショップを開催することを期待したい。

アイテム

模造紙、インターネット(オンラインディスカッション)、 ホワイトボード

開催日時

2017.1.9(月)- 5.14(日)

場所

東京大学本郷キャンパス GCLラボ

参加者・人数

7名
(健康科学・看護学1名、公共健康医学1名、システム情報1名、電子情報学3名、総合教育科学1名)

講師/ファシリテーター

会田大也(東京大学大学院GCL GDWS特任助教)

原稿執筆:会田大也