Local Innovation Camp in Hida
Hida city, the stage of this project, has been suffering from the problem of wild animal damage. That is because residential areas are close to the mountains and multiple damages occur caused by various animals within the same agricultural land throughout the year, and such deployment cannot be coped with simple traps and fences. Meanwhile, Rakuten’s services have been expanded, but its comprehensive utilization is also a part where discussion should be held. In addition, in the University sector, the accumulation and utilization of academic knowledge in various fields can also be regarded as an important resource for better society. Therefore, in this project, three different sectors, Hida City, Rakuten Inc. and the University of Tokyo’s GCL, got together and mixed to conduct Make-a-thon, discussing social challenges especially focusing wildlife control measures in Hida City.
This project has four major checkpoints. First of all, we did fieldwork in Hida city as a kick-off meeting in May. In the course of three days, we experienced and shared how the living space of the people of Hida is close to the wildlife habitat, listening to the local people. Also, at the end of this 3 days, participants presented ideas on each team and got feedback from the implementers of countermeasures against wild animals. In July, at Rakuten’s head office, we held meetings with Rakuten Inc.’s staffs in charge of various services and discussed further ideas for realization of the idea gained by the previous kickoff meeting in Hida. Also, in September we made an intermediate presentation at the Yayoi campus of the University of Tokyo and assumed that we would propose ideas as a startup so that participants can make further projects brush up. At the final symposium in December, by sharing Rakuten’s ICT service and academic knowledge of the University of Tokyo’s GCL to promote integration and utilization, participants shared four ideas aimed at solving concrete social issues in Hida city, opening the discussion to the public.
At the final stage of this workshop, four startup teams proposed ideas and services for wildlife damage countermeasures, respectively. First of all, a team that developed “animal damage map” aiming at visualization and sharing of wildlife damage. And, a team who developed “Hunter Support” as a service that connects hunter and community and helps those who are willing to become a hunter. “SISITOWN” which combinedly developed services related to so-called “jibie” (wild animals’ meat which obtained by hunters) in order to give economic value to animals disinfected as a result of countermeasures against wildlife damage. Finally, combined with Rakuten’s services of the travel system and countermeasures against wild harmful animals, ideas aimed at social influences such as “trapping women” were considered and announced at the final symposium. Those proposed in this project were submitted to Hida City and will be developed as a project of Rakuten Technology Institute in the future.
企画の背景
本企画の舞台となる飛騨市における鳥獣被害の問題は、住民の居住地域が山に近いことまた複数の鳥獣による被害が、1年を通して同じ農地内で発生するなど、単純な罠の設置や柵の配備では対処しきれていないという現状がある。また、楽天が有するサービスについても、拡充が行われた一方で、その包括的利活用はこれから議論が行われる部分でもあります。加えて、東京大学GCLでは多分野連携のプログラムであり、多方面における学術的知見の蓄積は、社会をより良くするための重要な資源であると捉えることもできる。そこで、本企画では、飛騨市、楽天、東京大学GCLという異なる三者が混ざり、飛騨市における鳥獣対策という具体的な課題に対して議論を行い、具体的に対策を形にするところまでの過程を提供するようなメイカソン(Make-a-thon)を5月から断続的に実施した。
どんなワークショップ?
本企画は大きく4段階のチェックポイントを有している。まず、5月には飛騨市現地におけるフィールドワークを、キックオフミーティングとして行った。3日間の行程の中で、飛騨の人々の生活空間がいかに野生動物の生息範囲に近いところにあるのかを、現地の方々の語りを含めて経験・共有を行った。また、この3日間の最後には、各チームでのアイデアの発表を行い、それぞれ出したアイデアを吸収しつつ、鳥獣対策の実施者などからフィードバックを得た。7月には楽天株式会社の本社にて、楽天株式会社が有する各種サービスの担当者とのミーティングを行い、先の飛騨キックオフで得たアイデアの実現化に向けて、さらに深い議論を行った。9月には東京大学弥生キャンパスにて中間発表を行い、スタートアップとしてアイデアを提案すると想定した上で、さらなる企画のブラッシュアップを行った。12月の最終シンポジウムでは、楽天が有するICTサービスと、東京大学GCLが有するアカデミックナレッジの両者の融合と活用を促すことで、飛騨市における具体的な社会課題の解決を目指す4つのアイデアを共有し、その可能性を広く一般に開き、議論を行った。
プログラム
第1回(5.25-27) | ||
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・飛騨まちなかクエスト | ||
・インスパイヤー飛騨with Raku-Tech | ||
・アーリーバード散策 | ||
・グループでの現地見学 | ||
・グループ戦略会議 | ||
・プレゼンテーション | ||
・飛騨イノベーションエコシステム(全体の計画提案)の作成 | ||
第2回(7.18) | ||
・Hack-Day イントロダクション | ||
・グループワーク | ||
・サービス担当者インタビュー | ||
・Asa-janai-Kai | ||
第3回(9.19) | ||
・イントロダクション | ||
・スタートアップ企業としての戦略会議 | ||
・スタートアッププレゼンテーション | ||
第4回(12.14) | ||
・プロジェクト趣旨説明・道程紹介 | ||
・4チーム発表 | ||
・飛騨市長挨拶 | ||
・パネルディスカッション |
ワークショップの成果
本ワークショップの最終段階では、4つのスタートアップチームから、それぞれ鳥獣被害対策のアイデアおよびサービスの提案が行われた。まず、鳥獣被害の可視化・共有化を目指した「獣害マップ」の開発を行ったチーム。そして、新規でハンターになりたい人や、ハンターとコミュニティをつなげるサービスとして「Hunter Support」を展開したチーム。鳥獣被害対策の結果として駆除された動物に経済的価値を与えるため、ジビエに関わるサービスを複合的に展開した「SISITOWN」。そして、楽天が有する旅行系のサービスと鳥獣被害対策を組み合わせ、「罠女」などのソーシャルな影響も狙ったアイデアが考えられ、最終シンポジウムで発表された。本企画で提案されたものは、飛騨市に提出され、また楽天株式会社楽天技術研究所のプロジェクトとして展開されていく予定である。
ふり返り
本企画の大きな目的は、飛騨市の行政的リソース、楽天株式会社が有するICTサービス、東京大学が有する学術的な知見を融合させることで、飛騨市における具体的な社会的課題(今年度は鳥獣被害対策)の解決することであった。現在、大学内部においても学際領域の重要性が叫ばれているが、もはや大学や地方自治体、一企業という単一のセクターだけで現代の社会的課題を解決することが難しい時代が来ていると感じる。それぞれのセクターが、大学、行政、企業といったカタチに閉じることなく、ゆるやかに繋がり、開かれた状態で各活動のフィードバックと情報の行き来を起こすような構造が、日本に留まらず世界的に求められている。新しい試みには、新機軸による課題解決の可能性と共に、参加する方々へ相当の労力と負荷をかけるものとなったが、本企画の参加者は皆さん積極的に動いてくださる方ばかりで、4つのプロトタイプを出すに至った皆様の素敵な連携力を称えると共に、本企画にご助力頂きました全ての皆さまに感謝の言葉を送らせて頂きたいと思います。
アイテム | 模造紙、付せん、インターネット環境、パソコン、ワークシート、ブランクカード、携帯端末、ドローン、モバイルプロジェクター、カラフルトークン、鹿の角 |
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開催日時 | 2018 年5月25日-27 日(金-日),7月18日(水)、9月19日(水)、12月14日(金) |
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場所 | 岐阜県飛騨市内 |
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参加者・人数 | 学生8名 |
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講師/ファシリテーター | 土田憲司(飛騨市企画部地域振興課) |
原稿執筆:杉野弘明