Usefulness and appropriateness of a smartphone-based application (DialBetics Step) to increase physical activity

We have developed a smartphone-based application (DialBetics Step) with enhanced goal setting and automated feedback to increase physical activity for people with a high risk of lifestyle-related diseases (e.g., type 2 diabetes and hypertension). The author and 5 GCL students who took this workshop B jointly designed and facilitated a workshop to explore usefulness, appropriateness, and necessary improvements of DialBetics Step (see a workshop C with the same title for employees of private companies). This workshop B was divided into two parts. In Part 1 (3 sessions), students used DialBetics Step for four weeks as study participants and joined the similar discussion to that in the workshop C. In Part 2 (3 sessions), they joined preparation, facilitation, and evaluation of the workshop C. Students served as facilitators of group discussion in the workshop C. Based on students’ discussion (the last session) after the workshop C, we summarized evaluation (fig.1): good points and challenges (vertical axis: from concept to operation, horizontal axis: from environment to activities). Students could learn lessons on the design and facilitation of workshops.

企画の背景

糖尿病や高血圧等の生活習慣病の発症や重症化の予防には、患者・ハイリスク者自身が食事・運動などの生活習慣を変容し健康管理を行うことが求められる。スマートフォンを用いた自己管理アプリケーション(アプリ)を活用し、自動化された個別フィードバックを行うことで、医療従事者の負担を増やすことなく密な支援が可能になると期待される。執筆者は、既存の生活習慣病患者向け自己管理アプリに、歩数を中心とした身体活動促進のための目標設定・自動フィードバック機能を追加した新たなアプリ(DialBetics Step)を開発した。企業の労働者(健康診断で高血圧と判定された者)を対象とした介入試験後に、追加機能の有用性・適切性を明らかにしアプリの改善点を抽出することを目的としたワークショップを企画し、WS Bを受講するGCLコース生と共同で運営した。本稿では、WS Bとしての一連の流れ(企業労働者を対象としたワークショップの準備から当日の運営、終了後の振り返りまで)について述べる。

どんなワークショップ?

本ワークショップは以下の2部構成で実施した。
・Part 1(第1回~第3回):WS Bの参加者がまずは研究参加者となり、DialBetics Stepの歩数に関する機能を4週間試用した。試用後に、追加機能の有用性・適切性について、企業労働者を対象としたワークショップと同様のディスカッションを実施した。
・Part 2(第4回~第6回):企業労働者を対象としたワークショップの運営(当日の進行・ファシリテーター、終了後の振り返り)を、本WS Bのファシリテーターと参加者が協働で行った。企業労働者を対象としたワークショップでは、主にグループディスカッションを実施し、歩数を増やすための工夫、目標設定・自動フィードバック機能の有用性や適切性および改善案について話し合ってもらった。グループディスカッションのファシリテーションは、ワークショップの実施主体である医学系研究科健康空間情報学講座のスタッフと本WS Bの参加者が1名ずつペアとなり実施した(詳細は同題のWS C(本番編)を参照)。

プログラム

<Part 1>
・第1回

:Introduction(2018年12月、60分)

 ①WSの全体像の説明

 ②研究説明、同意書の記入、活動量計の配布

 (終了後1週間、活動量計で歩数を測定する)

・第2回

:DialBetics Stepの操作方法の習得(2018年12月、60分)

 スマートフォンの配布、アプリの操作方法の説明

     

 (終了後4週間、アプリを試用する)

・第3回

:DialBetics Step試用後のディスカッション(2019年1月、90分)

     

 ①アンケートの記入

     

 ②グループディスカッション(アプリの有用性・適切性について)

<Part 2>
・第4回

:企業労働者対象のワークショップの準備(2019年1月、90分)

     

 ①生活習慣病に関する講義

     

 ②ワークショップ本番の打ち合わせ(当日の流れ・ファシリテーション方法の説明、会場案内、スタッフとの顔合わせ)

・第5回

:企業労働者対象のワークショップ本番(2019年1~2月、130分)

     

 ワークショップの運営、ファシリテーション(詳細は同題のWS C(本番編)を参照)

・第6回

:企業労働者対象のワークショップの振り返り(2019年2月21日、90分)

     

 ①アンケート結果の報告

     

 ②ディスカッション(ワークショップの本番のよかった点・反省点など)

ワークショップの成果

<Part 1>
若年層の健常者の視点から、アプリの有用性や改善すべき点についてさまざまな意見が出された。付箋に書かれた内容および録音したディスカッション内容を今後分析し、アプリの改修に活用する予定である。
<Part 2>
本WS Bの参加者の協力のもと、企業労働者対象のワークショップ(同題のWS C(本番編))を開催した。第6回の振り返りでのディスカッションをもとに、ワークショップのよかった点および今後の課題(コンセプト⇔運営の軸、活動⇔環境の軸)を模造紙にまとめた(fig.1)。参加者からは、ワークショップの進行表の作り方が参考になった、今までに参加したことがないタイプのワークショップだったので新たな経験ができた、などの感想があり、ワークショップの企画・運営に関する学びを得る機会となったようである。

ふり返り

・ファシリテーター(執筆者)と参加者(GCLコース生)が共同でワークショップを運営したことで、互いに学び合うことができたと考えられる。また、ワークショップの振り返りの時間(第6回)は、ワークショップを学ぶ同じ立場のGCLコース生から運営に関するさまざまなフィードバックをもらったり互いの学びを共有したりする機会となり、非常に有用であった。
・企業労働者対象のワークショップでは、参加者(企業労働者)があまりワークショップに慣れていない集団であったため、グループディスカッションのファシリテーターを2名/グループとする工夫を行った。ファシリテーターのうち1名が進行役、もう1名が付箋記入等の参加者のサポート、というように役割分担をすることで、ディスカッションを円滑に進めることができた。一方で、ファシリテーター間で事前に打ち合わせができていなかったため進行に戸惑ったケースもあり、事前に十分な打ち合わせをすることの必要性を感じた。

アイテム

Part 1:WSの説明資料、研究に関する資料(説明文書・同意書・アンケート等)、活動量計、スマートフォン、アプリのユーザマニュアル、PC、プロジェクター、マジック、サイコロ、付箋、アプリのスクリーンショットカード、ICレコーダー、BGM
Part 2:PC、プロジェクター、講義資料、ワークショップ本番の進行表、名札、カメラ、マジック、付箋、模造紙

開催日時

2018年12月12日(水)~2019年2月21日(木)

場所

・GCLラボ
・東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 健康空間情報学講座(第5回のみ)

参加者・人数

合計5名(知能機械情報学、システム情報学、学際情報学、電気系工学、健康科学・看護学 各1名)

講師/ファシリテーター

澁田朋未(健康科学・看護学専攻 D3)

原稿執筆:澁田朋未