Sharing of practical knowledge on demonstration/exhibition
The purpose of this workshop is to collect practical knowledge on presenting research outputs as a demonstration and to arrange it into reusable one. Demonstration or exhibition is an effective way to transmit the significance and value of research. However, practical knowledge necessary or useful in exhibiting ideas is not systematized nor accumulated. In this workshop, we try to arrange such ideas based on a visualization method and to share them.
In this workshop, we first use a framework named “thinking process development diagram” to organize the ideas of designers. Next, we share the ideas based on this diagram and give feedback to each other. Finally, we improve the demonstration ideas based on the feedback.
After the works, participants would be able to understand, organize and improve their exhibits.
企画の背景
企画者は平成27年度よりGCLプロジェクトとして,視覚情報の可聴化デバイスSightを作成してきた.このプロジェクトは「視覚による世界の知覚様式は絶対的なものではない」というコンセプトを伝え,視覚を使わない新しい視覚体験を人々に啓蒙するものである.美術館・科学館など,これまでに様々な展示を通じて,27年度は500人,28年度は5000人,29年度は70000人の人々にSight実機を体験してもらい.このアイデアを広げてきた.これらの経験を経て得たデモンストレーション展示の実践的知識を,同じように研究成果をデモンストレーション展示の形で発表する人々に共有・伝承する機会の必要性を感じていた.
大学時代に工学を学んだ企画者にとって,様々な制約の中で設計解を導く必要があるデモンストレーション展示の設計は,機械設計と類似するものに感じられた.そこで,機械設計者の思想を可視化するために用いられる「思考展開図」と呼ばれる手法が,デモンストレーション展示の整理・フォーマッティングに拡張できるという着想を得るに至った.
そこで,大学でデモンストレーション展示をしている,あるいはする予定のある学生とワークショップを実施し,この仮説を検証することにした.
どんなワークショップ?
ワークショップではまず,思考展開図の説明を行い,金沢21世紀美術館におけるSightデモンストレーション展示の試行展開図を紹介した.次に,参加者が予定している・あるいは過去に実践した展示の事例を題材とし,各々の展示内容を思考展開図に沿って整理し,共有した.さらに,Sight展示の失敗例を紹介し,参加者の展示の失敗・成功の経験に基づき,互いの展示計画にフィードバックを与えた.最後に,このフィードバックを基に,各々の展示計画を改善した.
プログラム
5min | ワークショップの主旨・目的の説明 | |
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15min | アイスブレイク | |
10min | ワークショップの流れと,思考展開図の説明 | |
30min | 企画者の研究紹介と,思考展開図で整理した展示計画を紹介 | |
15min | 休憩 | |
25min | 各自の展示計画を思考展開図で整理 | |
25min | 整理した結果を発表 | |
10min | 休憩 | |
15min | 企画者の展示失敗事例紹介 | |
15min | 互いの展示計画で起こりそうな問題・懸念点を共有 | |
20min | 展示計画の改善方法を検討 | |
15min | 改善されたデモンストレーションの発表 | |
5min | 感想・質疑応答とワークショップの内容のまとめ |
ワークショップの成果
本ワークショップを通じて,思考展開図を用いて展示計画を整理することの有用性を示唆する結果を得た.参加者達は様々な展示計画を想定していたが,全員が思考展開図を用いて展示計画を整理し,共有することができた.終了後のアンケートでも,「思考展開図を展示計画の整理に使う試みについて」という項目について,全員が「有用だと思う,このまま利用可能である」と回答した.これらの結果は,機械設計で用いられる思考展開図が,展示計画の性質によらず柔軟に適用可能であることを示唆する.
加えて,終了後のアンケートでは「展示の知見を共有することについて」という項目について全員が「共感できるものであった」あるいは「以前から同じような問題意識を持っていた」と回答した.さらにアンケートでは,「これまで多くの展示経験があったが,知見を共有する機会は少なかった」という意見を得た.これらの結果は,①展示の経験的知識を共有することの重要性・有用性は展示経験者たちの多くが共感する課題であること②展示経経験の有無に寄らず,展示の経験的知識を共有するためには,今回のワークショップで用いた思考展開図のように,何らかの工夫や機会が必要であることを示唆する.
ふり返り
本ワークショップを通じて,思考展開図が展示計画の整理や理解のために有効な手法であることが分かった.この結果を得て,主催者は思考展開図のさらなる応用可能性を期待している.例えば,今回は時系列に沿った計画の策定や,状況に応じた計画のアップデートについて扱わなかった.また.複数人で作業する際のワークフローの設計についても扱わなかった.これらの問題を扱う際にも思考展開図が有効であるかは,今後検証する意義があるだろう.
また,ワークショップの進め方には改善の余地があると感じた.例えば,参加者から,「その場で展示計画を想定して整理することは難しいので,展示条件を企画者側で設定しておいたほうが課題に取り組みやすいのではないか」という意見を得た.ワークショップ内で行う課題と時間設計の改善が,今後改善するべき具体的な課題である.
アイテム | PC, プロジェクター, レクチャー用スライド,プログラム,アンケート,ディスカッション用の模造紙,付箋,マーカーペン |
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開催日時 | 2018年12月7日 13:30〜16:55 |
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場所 | GCLラボ |
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参加者・人数 | 学部生・大学院生7名 |
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講師/ファシリテーター | 和家尚希(東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻 博士課程) |
原稿執筆:和家尚希