SCALE Hands-on Workshop

SCALE provides a framework for load data from distributed load-sensitive modules for exploring force-based interaction. Force conveys not only the force vector itself but also rich information about activities, including way of touching, ob- ject location and body motion. Our system captures these interactions on a single pipeline of load data processing. Fur- thermore, we have expanded the interaction area from a flat 2D surface to 3D volume by building a mathematical framework, which enables us to capture the vertical height of a touch point. These technical invention opens broad applications, including general shape capturing and motion recognition. We have packaged the framework into a physical prototyping kit, and conducted a workshop with product designers to evaluate our system in practical scenarios.

企画の背景

住環境を技術によって拡張し人間を支援するするスマートホームの実現に向けて、さまざまなセンシング技術が提案されている。住環境ではプライバシーの懸念や、デバイスの装着に制限があるなど制約があり、カメラやウェアラブル型のセンサだけでは取得できない情報も多い。そこで筆者らは住環境に組み込むことができる非装着型の力覚センサに注目し、ツールキットを開発した。このツールキットを使うことで、人間が家具などの物体をタッチした位置を検出したり、コップなどのモノの移動を検出できるほか、機械学習と組み合わせた行動認識を行うことができる。このようなツールキットを利用できる場面についての議論や、ツールキットとしての使いやすさについての評価が必要とされていた。

どんなワークショップ?

本ワークショップは、力覚センサを用いたツールキットSCALEについて下記の2項目を検証することを目的に設計された。

(1) 力覚センサを生活環境に利用することで実現できそうなアイデアにはどのようなものがあるのか?
(2) 力覚センサモジュールSCALEは、プロトタイピングのためのツールキットとして使いやすいか?

これらの問いを、それぞれブレインストーミングおよびハンズオンワークショップの形式で検証した。参加者は共同研究をしている企業より計20名(デザイナー職12名、エンジニア職8名)に参加してただき、2日間に渡るワークショップを行った。

プログラム

〔Day1〕
60min

Keynote: Tangible Media

60min

Introduction of SCALE tool kit

120min

Brainstorming

60min

Hands-on workshop

90min

Groupwork 01

30min

Intermediate Presentation

〔Day2〕
120min

Groupwork 02

90min

Final Presentation

30min

Wrap Up

ワークショップの成果

ワークショップの2つの検証項目について次のような結果を得た。
(1) ブレインストーミング・セッションにより、力覚センサを利用した50を超えるアイデアが集まった。特にヘルスケアや見守り、家電操作の分野への注目が大きいことがわかった。
(2)全体を4つのチームに分けて、2日をかけたハッカソン形式の開発をおこない、4つのプロトタイプ制作を通じたツールキットとしての使いやすさについての評価を行った。

本ワークショップを分析した詳細については、SCALEセンサ開発についての論文のユーザーテスト章として公開した。
T. Yoshida et al. SCALE: Enhancing Force-based Interaction by Processing Load Data from Load Sensitive Modules. In Proceedings of the 32nd Annual ACM Symposium on User Interface Software and Technology, NY, USA, 901–911.

ふり返り

HCI (Human Computer Interaction)と呼ばれる分野では、技術開発そのものにとどまらず、ひとがどう使うか、またはひとがどう感じるかという人間ファクターを主要なテーマとして扱っている。しかし、論文になる前の段階の技術を研究所の外の人間に実際に触ってもらいフィードバックをもらう機会はそうあるものではない。今回のワークショップは、2日間で20人を動員した大規模なものであり、共同研究先企業の厚意によって実現した貴重な機会である。
今後の可能性としては、このようなワークショップをパッケージとして再利用することが考えられる。研究テーマは毎回かわるが、運営やロジスティクスについては再利用が可能である。HCI分野においては、このようなワークショップと通じたユーザスタディも学術上重要な貢献として認められている。そのためよりコストを下げたワークショップ開催手法を確立することができれば、研究本体と社会実装の両輪がよりスムーズに廻ることだろう。

アイテム

模造紙、ポストイット、SCALEツールキット、openFrameworks開発環境

開催日時

2019/03/11 - 3/12

場所

共同研究先企業(CA, USA)

参加者・人数

合計20名(デザイナー職12名、エンジニア職8名)

講師/ファシリテーター

吉田貴寿, 中垣拳(MIT MediaLab)

原稿執筆:吉田貴寿