Usefulness and appropriateness of a smartphone-based application (DialBetics Step) to increase physical activity

We have developed a smartphone-based application (DialBetics Step) with enhanced goal setting and automated feedback to increase physical activity for people with a high risk of lifestyle-related diseases (e.g., type 2 diabetes and hypertension). This workshop aimed to explore usefulness, appropriateness, and necessary improvements of DialBetics Step based on users’ experiences. Thirty-four employees of private companies whose systolic blood pressure had been 140 mmHg or higher at a workplace health checkup in 2017 used DialBetics Step for six weeks. Then thirty of them attended the 2-hour workshop (5–9 participants/day) at the University of Tokyo Hospital. The workshop mainly consisted of group discussion (3–5 participants/group). In order to visualize discussion, participants wrote their behaviors to increase the number of steps and ideas for improvements of the application on Post-its and put them on screenshot cards of the application. This workshop was also aimed at participants’ learning of how to increase/maintain the number of steps through group and overall discussion. 17 (59%) participants responded that they found something useful to increase/maintain the number of steps after the workshop. We are now analyzing data collected in group discussion for revision of the application.

企画の背景

糖尿病や高血圧等の生活習慣病の発症や重症化の予防には、患者・ハイリスク者自身が食事・運動などの生活習慣を変容し生涯にわたって健康管理を行うことが求められるが、それらは難しいため支援が重要である。スマートフォンを用いた自己管理アプリケーション(アプリ)を活用し、自動化された個別フィードバックを行うことで、医療従事者の負担を増やすことなく患者・ハイリスク者に対する密な支援が可能となり、生活習慣病の発症・重症化予防に寄与すると期待される。執筆者らは、既存の生活習慣病患者向け自己管理アプリに、歩数を中心とした身体活動促進のための目標設定・自動フィードバック機能を追加した新たなアプリ(DialBetics Step)を開発した。企業の労働者を対象とした介入試験後に、目標設定・自動フィードバック機能の有用性・適切性を明らかにしアプリの改善点を抽出することを目的としたワークショップを企画した。

どんなワークショップ?

東京都内の某健康保険組合に加入する企業労働者のうち、2017年度の健康診断で高血圧(収縮期(最高)血圧140mmHg以上)と判定された者を対象とし、DialBetics Stepを用いた6週間の介入試験後にワークショップを実施した。ワークショップでは、主にグループディスカッション(3~5名/グループ)を実施し、歩数を増やすために行っている工夫、アプリが歩数を増やすのに役立ったかどうか、目標設定・自動フィードバック機能の中で適切でないと感じた部分や改善案について自由に話し合ってもらった。ディスカッション中は、意見を付箋に書いてアプリのスクリーンショットカードに貼ることで、ディスカッションの内容を可視化した。ディスカッション終了後には、各グループのファシリテーターが、歩数を増やすための工夫など他の参加者にとって有用そうな内容を中心に、ディスカッションで出た意見を共有した。また、ワークショップと並行し、介入試験の効果評価のための身体計測を実施した。

プログラム

9:20

受付、身体計測(血圧・体重)

9:45

開始の挨拶(スタッフ紹介、進め方の説明)

9:55

グループワーク(自己紹介)

10:05

講義(アプリの概要の復習)

10:15

個人ワーク(アプリの有用性に関するアンケートの記入)

10:25

グループディスカッション、内臓脂肪面積測定

11:15

全体での意見共有

11:20

リフレクション(ワークショップのアンケートの記入)

11:25

終了の挨拶(事務連絡、質疑応答)

11:30

解散

ワークショップの成果

<グループディスカッションの成果>
アプリの有用性や改善すべき点についてさまざまな意見が出された。付箋に書かれた内容および録音したディスカッション内容を現在分析中であり、今後アプリの改修案をまとめる予定である。
<学習目標に対する成果>
本ワークショップでは、参加者に対しては明示しなかったものの、「今後さらに歩数を増やす(または維持する)ための方法を学ぶ」という学習目標を設定していた。アンケートに回答した29名のうち、17名(59%)がワークショップを通して「今後歩数を増やす(維持する)ために活用できそうなことが見つかった」と回答した。

ふり返り

<参加者からの評価に基づく振り返り>
・ワークショップの参加者に満足度を5件法で質問したところ、約80%の参加者が「満足」(24%)もしくは「どちらかといえば満足」(55%)と回答し、おおむね良好な評価が得られた。他の参加者の意見や取り組みを聞くことができてよかったという意見が多く、グループディスカッションを通して新たな発見やモチベーションを維持するきっかけが得られたと考えられる。
・今回は歩数にテーマを絞ったワークショップを実施したが、参加者からは食事を含めた生活全般について取り上げてほしかったという要望もあり、ワークショップの運営側(研究者)がほしいデータと参加者のニーズをどうすり合わせるかが今後の課題であると感じた。
<ファシリテーター側から見た振り返り>
・介入試験の中の1つのプロセスをワークショップとして位置づけ、参加者がワークショップそのものを希望して参加したわけではなかったため、参加者がワークショップに慣れていないという面で企画・運営の難しさを感じた。
・ワークショップの目的(創ることで学ぶ)と研究の目的(研究課題に合わせたデータ収集)が必ずしも一致しない部分があり、それらのギャップをどう埋めるかが難しかった。介入試験後のデータ収集という、自身の研究にとって重要な部分をワークショップとして位置づけたため、後者(研究目的であるアプリの有用性・適切性の検討)のためのディスカッションが中心になってしまった。付箋に意見を書いてアプリのスクリーンショットカードに貼ってもらうことでディスカッションを可視化するという工夫をしたが、明瞭な成果物がなく、参加者に成果が見えづらかったのではないかという指摘もあった。参加者に対して学習目標を明示するだけでも、ワークショップの成果が見えやすくなり参加者の学びがより促進された可能性がある。

アイテム

PC、プロジェクター、名札、マジック、サイコロ、付箋、アプリのスクリーンショットカード、ICレコーダー、アンケート2種類、BGM

開催日時

2019年1月24日~2月4日

場所

東京大学医学部附属病院 22世紀医療センター 健康空間情報学講座

参加者・人数

合計30名(5名~9名/回)

講師/ファシリテーター

澁田朋未(健康科学・看護学専攻 D3)、健康空間情報学講座スタッフ2名(医師、管理栄養士)、GCLコース生5名(同題のWS B(全体編)の参加者)

原稿執筆:澁田朋未