Town Development Workshop in Samani

Samani is located in the eastern part of Hidaka, Hokkaido, and has a population of about 4,000. The main industry is fishing, and Hidaka kelp and salmon are famous. It was recognized by UNESCO as a Global Geopark in 2015, and next year, the town’s quasi national park will be promoted to a national park. Although Samani is a town with abundant nature, it is an important issue to consider the direction of town development because the birthrate is declining and the population is aging and the survival of the town is in jeopardy.
Although many valuable opinions were obtained in the questionnaire to the residents when formulating the 9th comprehensive plan, which is the basis of all the plans of the local government, the age of the respondents was biased toward the elderly.
In the free description, there were opinions related to young people such as “a town where young people settle down” and “securing a place for young people to work”. In addition, there are voices requesting an increase in the number of permanent residents due to migration, such as “town development that makes people want to move”, but it is unclear what kind of ideas people in these groups have in town planning.
The main purpose of this workshop was to focus on young people and migrants related to Samani Town and to find out what they think about the area where they live.

企画の背景

様似町は北海道日高東部に位置する人口約4000人の町である。主要な産業は漁業であり、日高昆布や鮭などが有名である。2015年には世界ジオパークとしてユネスコに認定されており、来年には、町の国定公園が国立公園へと昇格することになっている。このように自然豊かな様似町であるが、少子高齢化が進み町の存続が危ぶまれており、まちづくりの方向性を考えることは重要な課題となっている。
自治体のすべての計画の基本となる9次総合計画を策定する際に行った住民へのアンケートでは多くの貴重な意見が得られたが、回答者の年齢が高齢者に偏っていた。
自由記述においては、「若者が定着するまち」、「若者の働く場の確保」といった若者に関係する意見があった。また、「移住したくなるまちづくり」など移住による定住者の増加を望む声も見られるが、これらの層の人達が町づくりにおいてどのような考えを持っているかは不鮮明である。
本ワークショップでは、様似町に関係のある若者と移住者にフォーカスをあて、自分達の居住する地域に対してどのような考えを持っているかをくみ出すことを主目的とした。

どんなワークショップ?

本ワークショップでは様似町に関係のある若者と移住者に集まってもらい様似町の課題に対する解決策についてアイデアを出してもらった。まず、講師の先生からSDGsについての基礎的な講義を行ってもらい、SDGsとはどのようなものなのかについてイメージを作ってもらった。その次に、様似町の課題や良くないと思うことと様似町の魅力や良いことをブレーン・ストーミングしてもらった。課題と良いところが出揃った段階で前もって用意しておいたワークシートにそって個人ワークを行ってもらった。個人ワークの内容は、
①課題(Bad point)、魅力(Good point)についてそれぞれカードに書き出してもらう(Bad card、 Good card)
②最も解決したほうが良いと思うBad cardを1枚選ぶ
③Bad cardに関連する裏SDGsカード(SDGsの17個の各ロゴに対応する実例を記載)を選ぶ
④Good cardを組み合わせてBad cardの解決策を考える。難しい場合にはHint cardも使用する
⑤解決策を「さまになる物語」として記述する
⑥裏SDGsカードを裏返し、Bad cardを解決できた際に達成できるSDGsを確認する
以上が個人ワークの内容である。
グループワークでは、グループ内で各々の「さまになる物語」を発表したあと、もっとも「さまになる」ものはどれかについて投票を行った。その後、グループ内でもっとも「さまになる」物語を他グループに発表した。

プログラム

11:00-12:30

会場設営

12:30-13:00

チェックイン

13:00-13:15

本日の内容と講師・ファシリテーター紹介

13:15-13:35

SDGsについて (講師)

13:35-13:45

グループ内で自己紹介(アイスブレーク)

13:45-14:00

休憩

14:00-15:10

グループワーク

15:10-15:20

グループワークの内容を発表

12:20-15:30

講評

15:30

解散

ワークショップの成果

本ワークショップの結果、最終成果物として12名の参加者から14つの「さまになる物語」と、Goodカード46枚、Badカード29枚を得ることができた。Good cardには、豊かな自然に関することが多く記述されていた。これらの意見は町民アンケートの結果とも一致しており、長年町に住んでいる住民と若者・移住者の間で考えに相違がない可能性が示唆された。一方、Bad cardには仕事や働く場所といった産業に関わることを書いている者が多かったが、住民アンケートでは出てきていなかった意見も複数見られた。このことから、様似町の魅力に関しては多くの人が同じようなことを感じているが、課題に関しては長年住んでいる住民とまだ住んでいる期間が長くない住民とでは感じ方が違う可能性があることが示唆された。

ふり返り

本ワークショップでは、若者と移住者にターゲットを絞り様似町の魅力や課題について考えてもらうことができた。総合計画策定の際に行ったアンケートの回答者が高齢者に偏っていたことや、町民の声を反映させるためのワークショップにおいても若者や移住者の声を聞き取れる形にしたほうがよいと思い実施したが、概ね目的は達成できたと考えられる。今回は外国人の移住者の方にも参加していただき、外国人からみた様似町の魅力や課題を聞くことができたのもよかった点としてあげられる。
今後の課題として高校生テーブル、農家テーブルなどとテーブルごとに属性が偏ってしまった点が改善点としてあげられれる。これまでに複数のワークショップに参加してきたが、実際に自分で運営してみて反省すべき点がたくさんあった。例えば、チェックインの際は名簿に名前を書いてもらいたかったが受付に人を置いていなかったため参加者がそのまま会場に入ってしまい、仲の良いもの同士でテーブルについてしまい自分の意図とは反する形になってしまった。「受付」という張り紙を1枚貼っておいただけでも違った可能性もあり、そのような細かい仕掛けを積み上げていくことがより良いワークショップのために必要であると感じた。
本ワークショップを開催するにあたり、講師役を本学の教員に依頼し、ファシリテーターの補助を道内の友人に依頼したが、それ以外は私1人で回せると当初は思い込んでいた。しかしながら、蓋を開けてみれば全く時間も手数も足りず、役場職員に写真撮影をお願いし、小道具作りを娘に手伝ってもらい、会場の切り盛りを妻に手伝ってもらい、どうにかこうにかやり遂げることができた。この場を借りて手伝ってくださった方々に心より感謝申し上げます。

アイテム

ペン、両面テープ、セロハンテープ、名札、ワークシート(A4)30枚、Goodカード150枚、Badカード150枚、Hintカード40枚、プロジェクター、マイク、飲み物、お菓子、紙コップ、紙皿、手指消毒用アルコール、アルコールティッシュ、PC、インターネット環境

開催日時

2021年11月27日

場所

北海道様似町中央公民館

参加者・人数

合計16名 / 小学生1名、高校生4名、イチゴ農家4名、行政関係者2名、観光案内所職員1名、一般町民1人、道内関係者1名、農学生命科学研究科1名、医学系研究科1名

講師/ファシリテーター

講師:杉野弘明(東京大学農学生命科学研究科) 
ファシリテーター:吉田浩平(一般社団法人ハイパーイナカクリエイト)

原稿執筆:徳重 誠