Thinking about support for absentees due to mental health problems and the environment surrounding them

It has been pointed out that a sick leave in the workplace due to mental health problems may lead to a chain reaction among the absentee’s coworkers. However, this is not widely known, and there is a lack of discussion to consider specific preventive measures. Therefore, in this workshop, we focused on clinical psychologists who support workers and provided an opportunity for discussion.
First, we introduced a fictional case (Case 1) about an employee on leave due to mental health problems and discussed about how to support. At that time, the participants looked back on their clinical practice and gain a new perspective on support for the workplace through the discussion with other participants. Next, we held a case study meeting in the form of PCAGIP on a fictional case (Case 2) about a worker who became unwell in a chain reaction due to the occurrence of a sick leave in the workplace. PCAGIP is a new case study method based on the concept of person-centered approach, and it is a method to generate useful hints for problem solving from interaction between the participants. After that, the facilitator gave a lecture on the impact of the occurrence of sick leave in the workplace. Then, the participants discussed what they can do to support workers, using the online post-it tool Miro. Finally, we reviewed and summarized the workshop and ended by asking each participant to share their findings and impressions. While discussion the participants were able to hear various opinions regarding psychological support for workers. Many participants said that the interaction itself between clinical psychologists engaged in the industrial field was a fresh and valuable experience. It is presumably because the percentage of clinical psychologists working in the industrial field is less than 10% of the total, and it is difficult to have opportunities to interact with each other. In addition, regarding the case study in the PCAGIP format, it can be said that it was a meaningful experience from the impression given by the participants: “I was able to respect each other’s opinions.” “I would like to apply it in my work.” The facilitators were able to obtain opinions supporting the significance of the research. Even though many participants had no experience of helping a colleague who had a chain reaction caused by the occurrence of sick leave in the workplace, they were aware of the high possibility of that. On the other hand, some said that it was difficult to consider what kind of support were needed. Through the group discussion including brainstorming and grouping ideas, it was suggested that various tools could be used according to the target of support within the broad categories of individual interviews, psychoeducation, and adjustment of the workplace environment. Both participants and facilitators were able to obtain results that were generally in line with the initial objectives, making the workshop a meaningful one.

企画の背景

職場でメンタルヘルス不調による休職が発生すると、休職者の同僚には、二次的なストレスによって連鎖的不調に至るリスクがあることが指摘されている。しかし、こうした指摘については、いまだ広く知られておらず、具体的な予防策を検討するための議論も不足している。そこで、本ワークショップでは、企業の内外で労働者の支援を行っている心理職を対象に、メンタルヘルス不調によって休職した労働者への支援方法や休職者を取り巻く環境を支援するための方法について議論する場を提供することとした。参加者は日常の臨床を振り返りつつ、職場への支援に関する新しい視点を得ること、企画者はメンタルヘルス不調による休職が職場に与える影響によって休職者の同僚が連鎖的に不調に至ることを予防するための示唆を得ることを目的とした。

どんなワークショップ?

まず、参加者が日常業務の中で比較的遭遇しやすいと考えられるメンタルヘルス不調休職の仮想事例(事例①)を紹介し、各自が考える支援方法などについて議論を行った。次に、事例①のメンタルヘルス不調休職の発生に伴って連鎖的に不調になった労働者についての仮想事例(事例②)を提示し、PCAGIP形式で模擬検討会を行った。PCAGIPとはパーソン・センタード・アプローチ(PCA)の考え方をベースにした新しい事例検討法であり、守られた空間の中で参加者間の相互作用から問題解決に役立つヒントを生み出す方法である。その後、ファシリテーターからメンタルヘルス不調休職が職場に与える影響に関するレクチャーを行い、グループに分かれて、「同僚を含む職場への支援としてできること」について、オンラインポストイットツールMiroを使いながらディスカッションを行った。最後に、ワークショップ全体の振り返りとまとめを行い、各参加者に得た気づきや感想をシェアしてもらって終了とした。

プログラム

10:00~10:30

趣旨説明・アイスブレイク

10:30~11:30

休職者支援に関するディスカッション

11:30~12:30

休憩

12:30~14:30

PCAGIP形式による仮想事例検討

14:30~15:00

メンタルヘルス不調休職が職場に与える影響に関する講義

15:00~16:30

同僚を含む職場への支援に関するディスカッション

16:30~17:00

振り返りとまとめ

ワークショップの成果

参加者は、自身の臨床について振り返りつつ、労働者への心理的支援に関する様々な意見を聞くことができた。身近に同じ立場の心理職がいないという参加者も多く、産業領域に従事する心理職同士の交流自体が新鮮で貴重な体験だったという感想が多く挙げられた。また、PCAGIP形式による事例検討については、「バランスよく聞くことも発信することもでき、それぞれの意見を尊重することができた」「多面的な視点で物事を考えられて面白かった」「今後、仕事で応用してみたい」という感想が述べられており、有意義な体験となったことが伺われる。ファシリテーターは、研究の意義を支持する意見に加え、休職者の同僚を含む職場への支援に関する多様なアイディアを得ることができた。

ふり返り

産業領域で活動する心理職の割合は全体の1割にも満たず、普段なかなか交流の機会が持ちにくい状況にあるなかで、本ワークショップでは、産業領域に従事する心理職同士が事例検討を通して自身の臨床を振り返ったり意見を交換したりする機会を提供することができた。また、メンタルヘルス不調休職が職場に与える影響に関する講義を通して、連鎖的不調の知識を共有し、具体的な予防策を検討する場も設けることができた。多くの参加者は、実際に連鎖的不調に至った同僚への支援を行った経験はなくとも、体験的に連鎖的不調が起きる可能性の高さを認識しており、メンタルヘルス不調休職者が出た職場に対する支援の必要性を感じていた。一方で、実際にどのような支援が必要かと問われると回答が難しく、ブレインストーミングやアイディアのグルーピングには苦戦したという意見もあった。最終的には、個別面談・心理教育・職場の環境調整という大きなカテゴリーの中で、支援の対象に合わせて様々なツールを用いることができるのではないかという示唆が得られた。参加者・ファシリテーターともに当初の目的に即した結果を概ね得ることができており、有意義なワークショップとなった。
今後、本ワークショップを産業領域に従事する心理職が交流する機会として、また、連鎖的不調に関する情報を普及させるための機会として、活用できる可能性があると考えられる。また、今回のグループディスカッションの結果から、連鎖的不調を予防するための具体的な方法を検討するには、必要な知見が不足していることもうかがわれたため、どのような要因が休職者の同僚のストレスに強く影響を及ぼしているのかということを明らかにしていく必要性も示唆された。様々な立場の心理職から意見を得ながら、研究により連鎖的不調に関する情報を増やしていくことは、メンタルヘルス不調休職者とその同僚を含む職場全体を安心安全なものとすることにつながると考えられる。

アイテム

PowerPoint、Miro(オンラインポストイットツール)、zoom、インターネット環境

開催日時

2023年3月21日

場所

zoomを用いたオンラインワークショップ

参加者・人数

臨床心理士・公認心理師:5名

講師/ファシリテーター

江浦 瑛子(東京大学大学院教育学研究科博士課程)

原稿執筆:江浦 瑛子